December 30, 2018

年瀬

【今年の誤植】

9月、こんなことってあるんだなあ。

「香港航空討論區」に次々と目撃情報がアップされ、キャセイ・パシフィック(Cathay Pacific)が自らツイート。
中国の廈門から香港に到着した同社のボーイング777にデカデカと、キャセイ・パシック(Cathay Paciic)との誤植が。
あまりにも見事に「f」が抜け落ちているので、わざとでは、という話もあったが本当に抜け落ちていただけらしい。

ポルコ
 「さらば、アドリア海の自由と放埓の日々よ、って訳だ」
老人
 「それ、バイロンかい?」
ポルコ
 「いや、俺だよ」

バイロンが言ったのは「事実は小説よりも奇なり」(Truth is stranger than fiction)ですよ、おじいちゃん。

Welcome to the new Cathay... where we give no 'F'.
CNN

【今年の東西】

西側のアメリカは兎に角、暗かった。

ヒットチャートの上位ってのは普通、それなりにポジティブな曲が来るものだが、そいうのが感じられなかった。
80年代の明るさを体験した身としては、「ウィ・アー・ザ・ワールド」がヒットした時の寛容さを取り戻してほしい。
あれから約35年を経て、アメリカは自由の対極へ向かおうとしている。

差別と銃社会と拝金主義について歌い、そしてビジュアルは、もうこういう表現はやめようぜアメリカ、辛いよ。

This Is America - Childish Gambino
mcDJ / RCA Records

東側のロシアは、明るかった。

特に、大ヒットを連発しているLittle Bigの貢献度は大きい。
珍曲「AK-47」なども含め、本家のある西側各社のパテントを取ってるのかどうかは疑わしいが。
未だに他国で毒殺を繰り返すような怖さもある国だが、庶民がそれを突き抜けようとしていること自体は健全に思う。

是非、NHK教育のアルゴリズム体操と共演して欲しい。

SKIBIDI - "Antipositive, Pt. 2" Little Big
SBA Music Publishing / Warner Music Russia

【今年の注目】

日本の写真関連サイトをほとんど閲覧する機会がないので、国内で話題になっているのかどうかは知らない。

今年10月、速報で有名なハリウッド・リポーターと、あのバラエティまで報じていたので正直驚いた。
なんと、ジョニー・ディップが次回作の映画でユージン・スミスの生涯を演じる、ウソマジでホント?
しかも原作は妻、アイリーン・美緒子・スミスの著作「Minamata」で来年1月には日本でも撮影が始まるそうだ。

来年は年号が変わる。

宮内庁は将来の皇后がチッソと繋がりがあることを問題視し、将来の陛下に直接進言したそうではないか。
これらを、ハリウッドの大スターに散々世話になってきた日本のメディアはどのよう伝えるのだ。
それこそ忖度してなかったことにするか、誰か遺族を焚きつけてフランシス・コッポラの「Mishima」のように葬るか。

映画の公開時期はまだ未定のようだが、これは今後も注目していきたい。

W. Eugene Smith in his workroom, 1968
Portraits of the Photographers by Arnold Crane
Smithsonian lnstitution

【今年の最後】

昔々、バイオリズムっていう言葉がよく使われた。

いい時もあれば悪い時もある。
最近やっと、そういうリズムやサイクルがあるんじゃないか、と思うようになった。
だからどうすることもないんだけど、なんか意識はするようになった。

振り幅を最小限に、なるべく平坦に、と思いながら一服している。

Locket - Crumb
Citrus City Records

皆さん、良いお年を。

December 27, 2018

起源

今月から来年5月まで、ベルリンのベルクグリュン美術館で「絵画の伝記」(Biografien der Bilder)展が開催されている。

会場では、ピカソやマティス、ジャコメッティやミロなど、絵画の表側と、裏側も鑑賞できるように展示されている。
画家のサインやメモ、画商の正札や但し書き、所有者の刻印など、普段目にすることのできない絵の履歴書である。
そこから、その絵画の描かれた時代背景や美術史における価値の移り変わりなどを展望しようという趣旨だ。

例えば、ナチスの刻印「GR2C」は、表向きは退廃芸術の烙印だが、実際は秘密裏に転売を指示する暗号でもあった。

Make Me Feel - "Dirty Computer" Janelle Monáe
Wondaland / Bad Boy Records / Atlantic Records

なんでもかんでもスマホ、になり始めた頃からだと思う。

例えば、家族が亡くなって、大切な写真やデータが全てスマホに入っていたとする。
それを遺族が取り出したいと望んでも、ハードやソフトのメーカーが頑なに拒む、というニュースを見るようになった。
個人情報は絶対不可侵であり、現時点では裁判所もそう判断している、俺だってその通りだと思う。

ただ、後世の未来人がスマホ普及以降の芸術家を調査研究しようとした時、いろいろ困るだろうなあとも思う。

Mumbo Jumbo - Tierra Whack
2017 Tierra Whack

今年9月、ついに、ギュスダーヴ・クールベの絵画「世界の起源」のモデルが判明した。

この絵は発表、いや、発見された当時から、論争になった。
絶対にモデルがいる説、そもそもいない説、もしいるなら誰だ説まで、クールベ本人は沈黙を墓場まで持っていった。
モデルと思しき候補は何人かいたが、最有力だったのは愛人のジョアンナ説である。

しかし、ジョアンナ説の最大の弱点は、彼女が赤毛であったことだ。

ところが、まったく別の研究から偶然、意外にもアレクサンドル・デュマの書簡からモデルが特定された。
パリ・オペラ座のバレリーナにしてオスマン帝国外交官の愛人、そして、「世界の起源」のモデル。
彼女の名は、コンスタンス・ケニオー(クニョー)。

ナダールが撮影したポートレートによって、彼女はその姿を何枚か遺している。

Constance Quéniaux
Nadar, 1860

彼女もクールベも、現在の我々を許してくれると思いたい。

December 24, 2018

前夜

ご存知と思うが、今「メリー・クリスマス」とは言えない。

ポリティカル・コレクトネスの一環である。
しかし経済効果は無視できないので、「ハッピー・ホリデー」でなければならない。
大人の都合ここに極まれり。

ただし、子供たちにとっては良い日であって欲しい。

Happy Holidays 2018 by Google

それだけは、願ってる。