June 25, 2016

仲悪

ついにイギリスさんが、離脱かあ。

これでまたヨーロッパがしばらく揉めることになるわけだ。
あのね、あなたたちはね、頼むから、一度でいいから、せめて百年くらいは仲良くしてくださいよ。
実際には脱退協定を締結するまでに数年かかって、本当に落ち着くのは更に先になるらしいけど。

こうなると離婚と同じで、EU諸国と利害の分与があって、そりゃあんた、ヤクザさんだって揉めるくらいだからね。

Madeline 'Ma‑Ma' Madrigal is the main antagonist of the 2012 Sci-Fi action film "Dredd".
Lena Headey is an UK actress, her performance was inspired by punk rock music singer Patti Smith.
"Dredd" Pete Travis
Entertainment Film Distributors / Lionsgate Entertainment, Inc.

それにしても、ショックではあるけれども、株価は動揺しすぎ。

結局、経済は「さあ盛り上がってまいりました」っていう雰囲気をいかに保つか、でしょう。
盛り上がりが永遠に続くなんてのは幻想で、それって、そこら辺のDJの方がよっぽどよく理解してると思う。
DJってさ、アッパーな曲よりもダウナーな曲でこそセンスが問われるじゃない。

馬鹿みたいだけど、「お金屋さん」たちだって根本は同じなんじゃないかなあ。

Grab Her - "Settle" Disclosure
PMR / Island / Interscope Records

このままだと、イギリスの解体再編、スコットランド独立までいくかも、なんてね。

June 22, 2016

投石

もし気を悪くしたら、謝るよ。

あのね、諸々の出費を会社の経費で落とそうとするのって、ごく普通のことなんじゃないの?
悪いけど今までに、なるべく積極的に自腹で持ちましょうという人間を見たことがないんだけど。
例えば会計士と四六時中一緒に行動したら、公私を間違いなく区別できてる人間の方が少ないんじゃないかな。

経費で落ちようが落ちまいが、取り敢えず領収書の宛名は会社名で、みたいなさ。

それで多分なんだけど、一番いい加減な業種のひとつが、メディア関係なんじゃないかと。
ほんの少しだけども、そういう職場で働いたことがあって、まあ、その、つまりなんだ、酷かったのなんのって。
仕事そのものよりも、この領収書をどうやって経費で落とすか、という工夫の方に労力を使ってたんじゃないかな。

もちろんね、普通の感覚があればさ、誰も自分からは口には出さないよ。

I Mean It - "These Things Happen" G-Eazy
BPG / RVG / RCA Records

 If I ever said I'm never scared
 私がぜんぜん怖くないですよ、なんて言わなくても

 Just know I mean it
 解ってますよね、本当は

 If I ever said I fucked your bitch
 私があなたの女と寝たぞ、なんて言わなくても

 Just know I mean it
 解ってますよね、本当は

 And if I ever said I'm gettin' money
 それでね、私が金をもらってるんだ、なんて言わなくても

 Just know I mean it
 解ってますよね、本当は

 And, Oh Lord, Oh Lord knows
 そう、ああ神様、ああ神様、お見通しなんですよね

 He knows I mean it
 主は本当かどうか解ってるんですよ

 Yeah, you know I mean it
 ああ、あなただって本当は解ってるんですよ

 You know I mean it
 あなただって本当は解ってるんですよね

 Just know I mean it
 解ってますよね、本当は

 Just know I mean it
 解ってますよね、本当は

 Oh yeah, oh yeah, oh yeah ...

まあ要するに、なんだ、単なるメディアのはずなのに、厳然と、未だに、テレビは偉いってことですね。

とてもじゃないが、俺はあんなに石を投げられないよ。

June 9, 2016

発音

キャラオーケイ?

ああ、カラオケね。
キャラオケじゃないっつの、「カ」だよ「カ」、ほら言ってみ「カ」って。
ちげーよ、「カ」だよ、なんだこれリールーと話してるみたいになってきたぞ。

いくらなんでもそれはマルチパスだっつの。

FHLOSTON PARADISE boarding gate
"The Fifth Element" Luc Besson
Gaumont Buena Vista International

いや俺も人のこと言えないんだけどさ。

June 7, 2016

雨乞

雨よ、降れ。

雨さえ降れば、音楽はいらない。
どんな音楽だって、雨音に比べたら無粋なものだよ。
雨滴の細やかな響きで、鼓膜を包み込んでくれ。

そう、降ってくれたら、いらないんだ。

Pursuit - "Aleph" Gesaffelstein
Bromance/EMI Music France/OWSLA

雨音というホワイトノイズで、全ての余計な音を、消し去ってくれ。

June 2, 2016

米国

2016年5月6日、ホワイトハウスの定例記者会見にて。

<President Obama>
I think ... I just want to emphasize the degree to which, we are in serious times and this is a really serious job.
This is not entertainment ... This is not a reality show.
This is a contest for the presidency of the United States.
And what that means is that every candidate, every nominee, needs to be subject to exacting standards and genuine scrutiny.

<オバマ大統領>
私が考えるに・・・ここで特に強調しておきますが、我々(米国)は深刻な状況にあり、(大統領職は)真剣に取り組むべき職務です。
エンターテインメントではないし・・・リアリティー・ショーではないんです。
(大統領選挙は)合衆国の大統領職について審議する場です。
ですから、すべての候補者とすべての有権者は、厳格な規律によって正しい判断をしなければなりません。

President Barack Obama addressed the presidential campaign of Donald J. Trump. May 6, 2016
The White House

もし自分が若かったら、民主党候補のバーニー・サンダースさんを支持すると思う。

現在、大統領候補の3位か2位、泡沫候補と思われていたが今年に入って大躍進した。
キング牧師の行進に参加し、「I have a dream」を生で聞き、逮捕される写真が残ってる候補者なんてそういない。
社会主義者と公言しながらここまで支持されたのは、やはり、現在のアメリカの苦悩を切実に訴えているからだ。

特に、「経済」に関わる人たちは、なぜ彼がここまで若年層に支持されたのかを真剣に考えた方がいい。

「正義」や「道徳」といった単語を多用する彼の演説の姿は、例えるなら皆から信頼されている学校の先生の姿だ。
あくまでも常識的に考えてどうなのか、というキーワードは今後の選挙情勢にも大きく影響するだろう。
数年前なら「青臭い理想主義」と笑い飛ばされていた訴えが、今、誰も笑えないほどアメリカは深刻なのだと思う。

ちなみに、今回の大統領選でも各陣営が工夫を凝らした様々なキャンペーン動画を沢山公開している。

サンダースさんの動画は、彼を支持する理由を「あなたが語る」という演出で統一している。
これがちょっとしたドラマの様で(実際にドラマチックな人生を歩む方達だが)、思わずもらい泣きしそうになる。
感情ではなく政策で、とは思うが、やはりそれだけ「正義」や「道徳」が失われていると感じる人が多いのだろう。

今回の様々なキャンペーン動画の中では、最もよく考えて作られているな、と感じた。

Official campaign "It's Not Over" by Erica Garner - Bernie Sanders, US 2016 ※2
Official campaign "He's With Us" by Danny Glover - Bernie Sanders, US 2016 ※3
※1 タルシー・ギャバードさん、下院議員に当選するも辞退して従軍、除隊後に再当選、ISを秘密裏に支援する各国政府の利害関係を証言した。
※2 エリカ・ガーナーさん、エリック・ガーナー窒息死事件の奥さん、幼い娘さんと共に抗議運動の先頭に立った。
※3 ダニー・グローバーさん、説明不要、マータフ刑事も歳をとった、01:00~01:13に若い頃のサンダースさんが写ってる。

Bernie Sanders' Political Revolution. Nov 18, 2015
Rolling Stone
Photo: Christopher Anderson / Magnum

当初の大本命、民主党候補のヒラリー・クリントンさんは日を追うごとに急激に失速している。

昨年、ラスベガスの討論会で同党対立候補たちが例のメール問題で公私混同だと彼女を責めようとした。
ところが只一人、サンダースさんが「いい加減にしてくれ、彼女のメール問題なんて今は誰も聞きたくない」と一喝。
するとクリントンさんは「私もよ」と苦笑いで賛同、これは「言葉のボクシング」では考えられない大失態だった。

なぜ「あなたに諭される筋合いはない、私の問題は私が説明します」くらいの返しが出来なかったのか。

この出来事は、クリントンさんとサンダースさんの差が一気に縮まった印象的な瞬間として記憶されてしまった。
それでも現時点で彼女が大統領候補の筆頭だとは思うが、民主党の指名候補確定は来月だから油断できない。
あれだけ優秀で、あれだけ実績があり、あれだけ人脈のある女性なのに、それらが全部裏目に出てしまっている。

超有名人であったが為に、何を語ってもエスタブリッシュメント(既存支配層)の理屈になってしまうのだ。

クリントンさんのキャンペーン動画は、彼女を支持する理由を「みんなで語る」という演出を多用している。
これも逆効果で、本来は主役のはずの有権者が、強烈な主演女優のせいで全員脇役に追いやられている感じだ。
彼女が最後に語る「チャンピオン」のくだりは、本来の文意であれば「擁護者」と読めるはずだった。

しかしこうなると、キャリア・ヒエラルキーの頂点を目指す貪欲な「勝利者」と読み取られても仕方がないように思う。


Official campaign "All The Good" - Hillary Clinton, US 2016 ※5
Sanders: 'People are sick of hearing about Clinton's emails' - CNN, US 2016 ※6
※4 同性愛者が出演しているという理由から、YouTubeで成人認証が取れないと閲覧できない国がある。
※5 重厚なナレーションはモーガン・フリーマンさん、すごい女性だというのは本当によく解るんだけどなあ。
※6 メール問題のシーン、彼女の方から握手を求めようとする姿は、笑顔ではあったが「本命の余裕」には見えなかった。

Behind the Cover: Diana Walker on Photographing Hillary Clinton. Oct 27, 2011
TIME
Photo: Diana Walker

指名候補として確定した、共和党のドナルド・トランプさん。

この人、内容の是非は兎も角も、単純で短い文言をテンポ良く語り、ディベートはかなり上手いことが解った。
反論しようにも、単純で短い文言に対してだから、反論側も子供っぽい口喧嘩みたいになって深く突っ込めない。
諦めずに反論しようとすると、結局は単純で短い文言をテンポ良く繰り出されて簡単に軌道修正されてしまう。

トランプさんがスーパーカーなら、他の共和党候補者は鈍く非力な軽自動車で、そのくらいの話術の差を感じた。

更に手強さを印象付けるのは、流石に生粋のワンマン社長だ、彼の「怒鳴り慣れ」は芸の域に達している。
こうなると「言ったか言わないか」「イエスかノーか」だけが重要になり、議論を尽くすような面倒は排除される。
しかも、怒鳴った直後に必ず、怒鳴られた人まで思わずクスッとなるようなジョークを入れる余裕があるのだ。

今年に入って一応、彼の支持者も反対者も過激になったあたりから用心を始めたが、基本は変化なし。

さて、トランプさんのキャンペーン動画は、彼を支持する理由を「俺自身が語る」という演出で、ある意味潔い。
そして、経済や教育、移民、軍事といったそれぞれの政策を簡潔明瞭な文言で必ず1分以内にまとめている。
皮肉なことに、内容の是非は兎も角も、今回の候補者の中では「何をしたいのか」が一番良く解る仕上がりだ。

相手に伝わるというのは重要なことであり、同時に、理解度という難問とは永遠に相容れないのである。


※7 「もっと大きく、もっと強く、我が国に誰も手出しできない(Nobody is gonna mess with us)軍隊を作ろうぜ」、と仰っておられますです。
※8 イバンカさん(娘さん)も登場、2分近く(も)あるが、テレフォンショッピングみたいなキャンペーン動画なので解りやすい。
※9 抗議者に襲われかけて、支持者は暴徒化、壇上で「俺のシークレットサービスはいい仕事をしやがるぜ」と言い放って大ウケ。

Trump's New Hampshire win: 'Dawn of the Brain Dead'. Feb 10, 2016
New York Daily News
Photo: Daily News

先月27日、オバマさんの広島での演説や行動は、とても立派だったと思う。

一番感動したのは、「私たちは沈黙の嘆きに耳を傾けます」(We listen to a silent cry.)と言ってくれたことだった。
多数決で選ぶことが最も民主的であると考える国、アメリカの大統領がこれを語るには大変な勇気が必要だったと思う。
次の大統領も、沈黙の嘆きに耳を傾けようとする人が就くことを願いたい。

ありがとう、オバマさん。