小学6年生の頃から洋楽に興味を持つようになった。
中学生になると好みが出てきて、洋楽の中でもジャンルを選んで聞くようになった。
もう本当に偏ったジャンルだったので、とにかく当時は情報を集めること自体が大変だった。
今のインターネット社会は夢のようだ。
それでも、なんだかんだで昔から頼っているのがビルボード。
定期的にチェックしていると、好みのチャートも決まってくる。
総合的には、USチャートよりもUKチャートの方が気に入る曲が多い。
地域的には、テクノならドイツやポーランド、エレクトロポップなら北欧の国々、といった感じだ。
なにもビートルズだけがイングランド発じゃない。
We got more - Eskmo, Mv : Cyriak Harris
ここ数年、洋楽で最も驚いた現象は、Lady GaGa が日本でウケたことだ。
普段は深海のジャンルに潜んでいるが、海面が波立てば何だろうと思って浮上することもある。
すると、いわゆるアイドルと呼ばれる歌手の曲が耳に入ることが多くなる。
アイドルだからどうこうということはなく、良ければ聞く。
最初の Just Dance は、なるほど、元々はスタジオミュージシャンだったという話にえらく納得した。
次の Poker Face は、なるほど、本当はアイドルみたいに綺麗な人なんだと納得した。
そして、申し訳ないが、日本では無理だろうな、と思っていた。
数ある仕事の中で、プロデュースの才覚が欠片もないのは自覚している。
Just Dance - Lady GaGa, Ft : Colby O'Donis, Mv : Melina Matsoukas
同時期にヒットを飛ばしていた Ke$ha の方が日本ではウケると思っていた。
最初の Tik Tok は、これはこれは、第二のシンディー・ローパーかと思った。
次の Blah Blah Blah で、これはこれは、第二のブリトニー・スピアーズかと思った。
人気者の 3OH!3 と組んでいたことも後押しになるだろうと思った。
多分、一番足りない要素は、ゴシップ。
ヘリで移動中、市街地に強制着陸して、民家の住人を全員退去させてトイレに駆け込む、とか。
そういう、ウソみたいなホントのゴシップがない。
曲がウケるのか、奇行がウケるのか、どちらにせよショービジネスは難しい。
Blow - Ke$ha, Mv : Chris Marrs Piliero
朝一でカラーバランスを決めると、その日は皆で一日かけて現像作業となる。
単調といえば単調なんだが、うっかり気を抜くとカラーバランスが明後日に行ってしまう。
平坦な集中力と言えばいいのか、ほどよく緊張した状態をキープする必要がある。
すると、BGM当番に求められるのは眠くならない曲、となる。
一日に現像する枚数は、合計でおよそ1000枚から2000枚。
これを三人くらいで分割し、現像が難しいカットやレタッチが必要なカットなどに振り分ける。
黙々と現像するしかないんだが、やはり時折は雑談になる。
ブリトニーはね、多分、ゴシップまみれの時期のアルバムが一番いいよ。
Piece of me - Britney Spears, Mv : Wayne Isham
最近、90年代の曲をカバーしたりさ、雰囲気をリバイバルしたような曲、多いよね?
悪い意味ではなく、だから若い頃を思い出して面白いよ、という意味で言った。
すると、そうですかね、と不思議そうな表情で返された。
なんとなくだが、今、若い年齢で音楽を楽しんでいる人たちには時代という括りは希薄なようだ。
検索とは、基本的に全てを情報として均質に扱うことだ。
優先順位はあるかもしれないが、元になる情報そのものには同列の価値しかない。
紙媒体の時代とネット媒体の時代のビルボードは、その点では意味が大きく変化した。
これは、映像の捉え方や感じ方についても同様だと思う。
これだけ様々なアスペクト比が乱立していれば、ノートリミングの意義だって理解しにくいだろう。
良いことなのか悪いことなのかは、解らない。
まあ、どうでもいいことかもね。
そう、生きるか死ぬか以外は、どうでもいい話ばかりさ。
それ、誰の言葉ですかって?
ちびまる子ちゃんのおとうさんの台詞だよ。
Party Rock Anthem - LMFAO, Ft : Lauren Bennett, GoonRock, Mv : Mickey Finnegan