さて、オリンピックの話題、次から次へといろいろあってまあ、凄いですね。
数年前なんですけど、タクシーの運転手をちょっとだけやりまして、ええ、都内です。
その時はちょうどオリンピックの招致合戦の最中だったのかな。
各国語で案内が書いてある指差しパンフレットとかね、お上から配布されたの覚えてますよ。
都内でタクシーやるには、江東区にある東京タクシー・センターの研修が必須でね。
地理試験もここでやってるし、タクシーの助手席に、ほら立ってるでしょ、あの運転者証の発行もここです。
まあホント、会社は関係ないんでいろんな人が来てましたね、人のこと言えないけども、本当にいろんな人がね。
そういう連中が一度だけ、講習中に一同揃って爆笑になったことがあって、それだけ覚えてます。
Get Your Body - "Naughty" Adamski MCA Records |
お客さんとの接し方、みたいなのをビデオ講習で学ぶんですよ。
特に第一印象が重要なんで、つまり、お客さんが乗ってきた最初にどうするか、っていう。
タクシーの現状をみるにこれが徹底されてるとは思えないってのが、あるにはあるんですけれども。
まあ兎に角、役者さんが運転手やお客さんを何パターンか演じて、どれが正解か選ぶ、だったかな。
第一のパターンは、態度が悪い、愛想がない、暗い運転手。
お客さんが乗ってきても、前を向いたまま開口一番「どこ(に行くの)?」だけで、あとは黙ってる。
目的地を告げても復唱で返してくれないとか、一番悪いパターンで、まあ今もいるじゃん、こういう運転手。
復唱は大切で、前にも話したかもしれないけど、錦糸町と警視庁を間違えたって実話があるくらいですから。
Boss Drum - "Boss Drum" The Shamen One Little Indian Records / Epic Records |
第二のパターンはいわゆるお手本、彼を選んでおけば最低限の合格点は間違いないっていう運転手。
ドアが開くと「いらっしゃいませ」、お客さんが着座すると「ドライバーの何々と申します」、そして「どちらまで」。
復唱当然「目的地は何々でございますね、かしこまりました、シートベルトをお締めくださいませ」と流暢に。
お客さんがシートベルトを締める締めないはどうでもよくて、発進前に「締めてくれ」と告げたかどうかだけが重要。
法律っていうのはそういうもんであって、まあ、講習のビデオもそういうもんだから、面白くないでしょ。
第一のパターンの反応は皆が「ちっ、うっせーな、間違いに決まってんだろーが」みたいな反応。
第二のパターンの反応は皆が「こいつみたいにできねーからここに来てんだよ」みたいな反応。
ところが、第三のパターンは、なんでビデオに入れたのかっていうタイプの運転手だったなあ。
Rhythm Is a Dancer - "The Madman's Return" SNAP! Arista Records |
第三のパターンは、寅さん風の運転手。
ドアが開けば「へい、らっしゃい」、お客さんが着座すると同時に世間話がタメ口でレッドゾーンに。
「いやあ、今夜も暑いね~」とか言いながら、取り敢えず発進しちゃってから目的地を聞きました、みたいな。
この寅さん風の運転手が出てくる度に皆が爆笑、「いい運転手じゃねえか、面白いじゃねえか」ってね。
♪ タクシードライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も繰り返す ♪
そう、寅さんタイプの運転手って公共交通には一番向いてないんだよね、悲しいけれど。