April 8, 2016

能書

とても衝撃的なことがあった。

先月、ピアノの伴奏にあわせて子供たちが歌っている歌を聞いていたら、泣いてしまった。
ワンワン泣くわけにはいかない、メソメソするわけにもいかない、大勢の人がいるから。
咳払いをしてみたり鼻水を啜るふりをしたりして、誤魔化すのが大変だった。

誰もいなかったら、かなりみっともなく泣きに泣いたと思う。

そして先日、ある100円ショップで履歴書を挟むクリアファイルを探していた時だ。
どこかで聞いたことがある店内BGMだと思って耳を傾けたら、子供たちが歌っていたあの歌ではないか。
驚いてしまって一緒にいた甥に慌てて誰の曲なのか確認したら、甥も「えっ知らないの?」と驚いた顔で返してきた。

NHK朝ドラのテーマ曲として秋元康が作詞したAKB48の「365日の紙飛行機」という曲なのだそうだ。

Tsubasa wo Kudasai (I Would Give You Anything) - Akai Tori (The Red Birds)
"Takeda no Komoriuta" 1917 & "Utsukushii Hoshi" 1973
Toshiba-EMI Ltd

泣いた時、てっきり児童向けの、みんなの歌のような子供向けの何かから選曲したのだろうと勝手に思っていた。

ああいいな、山上路夫が作詞した、赤い鳥(山本潤子)の曲「翼をください」のようだ。
空の向こうや彼方といった遠大な視野と、足元を見つめるような身近な自意識、それら遠近感を対比する刹那さ。
なのに、AKB48でググッて聴いた途端、あの時に泣いた感情が一気に萎んでしまった。

本当に衝撃的な出来事であって、改めて、反省した。

素直に見ていない。
素直に聞いていない。
素直に感じていない。

能書きばっかりで、俺は何も解っていない。