June 15, 2015

問題

試しに説明してみるので、頭に思い浮かべながら読んで欲しい。


【A. 固体の回転運動】

まず、固体の回転運動を考えてみよう。

例えば、CDをプレーヤーに装填して再生する、タイヤを車に装着して走行させる。
CDもタイヤも1回転なら、円盤の内側(中心)も外側も同じ1回転しかしない。
内側(中心)が5回転する間に外側が8回転してた、あるいはその逆、なんてことは有り得ない。

なぜなら、固体だからである。


【B. 流体の回転運動】

つぎに、流体の回転運動を考えてみよう。

例えば、風呂の栓を抜いたときのお湯の渦巻きや、大気を巻き上げる竜巻である。
渦巻きも竜巻も内側(中心)ほど速く回り、外側ほど遅く回るから、流体は内側(中心)へ集まろうとする。
内側(中心)と外側でズレた回転数は捻り(差分回転という)を生み出す。

なぜなら、液体も気体も流体だからである。


【銀河の回転運動】

さてそこで、パッと、宇宙空間に浮かんで回転する銀河を思い浮かべて欲しい。

我々の住む天の川銀河でもいい。
銀河鉄道の終着駅があるアンドロメダ銀河でもいい。
どちらも回転している銀河だ。

宇宙空間に浮かんで回転する銀河は、【A. 固体の回転運動】と【B. 流体の回転運動】のどちらだろうか。

迷うことはないし、恥ずかしがることもない。
普通の感覚なら【B. 流体の回転運動】だと考えるはずである。
科学者だって同じ、【B. 流体の回転運動】になるはずだと考えていた。

ところが、1970年代末から始まった観測で、実際には【A. 固体の回転運動】であることが解った。

不思議なことに、銀河は内側と外側の回転数にズレがない。
厳密には微妙なズレはあるのだが、およそ流体とはほど遠い僅かなズレしかない。
まるで「星々が固体の円盤に固定されているかのごとく回転している」のだ。

これが、現在も解明されていない「銀河の回転曲線問題」である。

Space - "Aloha Moon" Magic Wands
Bright Antenna

科学者は悩んだ。

真空中に浮かぶ星々の集まりが「固体」のように回ってしまう理由が解らない。
どう考えても、ニュートン力学が破綻するし、破綻しないようにするとトンデモ理論になってしまう。
ついに科学者は、「未だに観測できない何かがあるのではないか」と考えるようになった。

それが正に今、各国で躍起になって探しているダークマター(暗黒物質)である。

仮定なので、エーテル(光を媒介すると考えられていた物質)と同様に間違いでした、という可能性だってある。
ただし、ダークマターの発見には同じく未発見のグラビトン(重力子)が重要な鍵になるのは間違いない。
リンゴが落ちて以来、皆が頭で理解していながら「実際には誰も見たことのない重力そのもの」(重力波)だ。

若人よ、世界はまだまだ多くの謎に満ちている。