【A. 固体の回転運動】
まず、固体の回転運動を考えてみよう。
例えば、CDをプレーヤーに装填して再生する、タイヤを車に装着して走行させる。
CDもタイヤも1回転なら、円盤の内側(中心)も外側も同じ1回転しかしない。
内側(中心)が5回転する間に外側が8回転してた、あるいはその逆、なんてことは有り得ない。
なぜなら、固体だからである。
【B. 流体の回転運動】
つぎに、流体の回転運動を考えてみよう。
例えば、風呂の栓を抜いたときのお湯の渦巻きや、大気を巻き上げる竜巻である。
渦巻きも竜巻も内側(中心)ほど速く回り、外側ほど遅く回るから、流体は内側(中心)へ集まろうとする。
内側(中心)と外側でズレた回転数は捻り(差分回転という)を生み出す。
なぜなら、液体も気体も流体だからである。
【銀河の回転運動】
さてそこで、パッと、宇宙空間に浮かんで回転する銀河を思い浮かべて欲しい。
我々の住む天の川銀河でもいい。
銀河鉄道の終着駅があるアンドロメダ銀河でもいい。
どちらも回転している銀河だ。
宇宙空間に浮かんで回転する銀河は、【A. 固体の回転運動】と【B. 流体の回転運動】のどちらだろうか。
迷うことはないし、恥ずかしがることもない。
普通の感覚なら【B. 流体の回転運動】だと考えるはずである。
科学者だって同じ、【B. 流体の回転運動】になるはずだと考えていた。
ところが、1970年代末から始まった観測で、実際には【A. 固体の回転運動】であることが解った。
不思議なことに、銀河は内側と外側の回転数にズレがない。
厳密には微妙なズレはあるのだが、およそ流体とはほど遠い僅かなズレしかない。
まるで「星々が固体の円盤に固定されているかのごとく回転している」のだ。
これが、現在も解明されていない「銀河の回転曲線問題」である。
Space - "Aloha Moon" Magic Wands Bright Antenna |
科学者は悩んだ。
真空中に浮かぶ星々の集まりが「固体」のように回ってしまう理由が解らない。
どう考えても、ニュートン力学が破綻するし、破綻しないようにするとトンデモ理論になってしまう。
ついに科学者は、「未だに観測できない何かがあるのではないか」と考えるようになった。
それが正に今、各国で躍起になって探しているダークマター(暗黒物質)である。
仮定なので、エーテル(光を媒介すると考えられていた物質)と同様に間違いでした、という可能性だってある。
ただし、ダークマターの発見には同じく未発見のグラビトン(重力子)が重要な鍵になるのは間違いない。
リンゴが落ちて以来、皆が頭で理解していながら「実際には誰も見たことのない重力そのもの」(重力波)だ。
若人よ、世界はまだまだ多くの謎に満ちている。