November 7, 2015

希望

昨日、完成した大型低温重力波望遠鏡(略称LCGT/愛称KAGRA)が初めて報道陣に公開された。

星の観察なんて呑気なものだと思うかもしれない。
しかし、なぜ地球は回り続けるのか、なぜ太陽は輝き続けるのか、星々のエネルギーの根源は何なのだろうか。
原爆や原子力は、こういった研究に携わった天才たちが時代に応えた途中経過の産物にすぎない。

至極単純な好奇心と探究心は、おおよそ二千年にわたって人々を虜にしてきた。

そして、この百年ほどは、アインシュタインが予測した解答を検証する歴史だった。
一時期は理論の破綻も危ぶまれたが、彼の正しさは、少なくとも自分が生きている間は正しいままに違いない。
観測精度が上がれば上がるほど、彼の正しさが証明され続けてきたのだから。

「アインシュタインからの最後の宿題」とは、重力波(Gravitational wave)を発見することである。

After - "Destroyed"Moby
Little Idiot / Mute Records

もし、重力波が発見できなければ、恐らく(本当の意味での)人類の宇宙進出は絶望的だ。


   アインシュタインにしろハイゼンベルグにしろ湯川にしろ、前半生は具体的な問題に取り組み、
   後半生は自分の信念、つまり自然はこうであってほしいという姿勢を追っています。
   これはある意味では哲学です。
   理論は科学でも、それを動機づけたものは哲学ではないかと思うのです。

                      「アインシュタインのたまご」佐藤文隆 (朝日出版社 1979年)より


2015年11月25日、一般相対性理論は誕生100周年を迎える。