March 25, 2017

八十

ハイテクという言葉が最早ハイテクではなく、ローテクな感じに聞こえるようになったのはいつ頃からだろうか。

ところがどっこい、流行は巡るんである。
Tech Noirというジャンル、あるいはFuture NoirやSci-Fi(SF) Noirと呼ばれるジャンルの映画をご存じだろうか。
まだ常用としてのカタカナ化が定着しておらず、一部でテクノ・ノワールやテクノワールなどど表記される。

ここ数年で注目されるようになった、主に80年代の映画への礼讚回顧である。

Turbo Killer - "Trilogy"Carpenter Brut
Neuropa Records / No QuarterRecords

マニアが集まると、どうしても理屈っぽくなる。

おいおい、少年時代にそこまで細かいこと考えて観てたのかよ。
もっと素直にハラハラドキドキ、手に汗握ってポップコーンを頬張りながら観てたじゃん。
という、現在の「不可能がなくなってしまった映像技術で製作された詳細すぎる設定の映画」に対する抵抗である。

ほらね、理屈っぽくなるからやめよう。

※DVD以降のテクノロジーでしか動画を観たことのない方へ。
昔々、VHSテープで動画を観ていた時代には、こういう感じのノイズが当たり前だったのです。

True Survivor - David Hasselhoff, Mv: David Sandberg, US 2015 
※皆さん覚えてますか、ナイトライダーの主人公マイケルを演じた俳優さんです。
まさに80年代、当時のまんま、カッコいいオヤジになってて嬉しい。
Kickstarterが縁で知り合って製作されたそうです。

"KUNG FURY" David Sandberg
Lampray / Laser Unicorns

2013年頃、もともとCMやMVの製作をしていたスウェーデンの監督がある映画の企画を発表した。

こういう脚本があって、こんな雰囲気の映像で映画を作りたい、その製作資金をKickstarterで募ったのである。
結果的に約1万5千人から合計で約7000万円をかき集めるが、それでも流通させる為の目標額には到達できなかった。
しかし諦めず、撮影に使用したキヤノンのEOS 5D Mark IIIやソニーのNEX-FS700などは私物だそうだ。

そして2015年、デイビッド・サンドバーグ監督はYouTubeで短編映画「Kung Fury」を無償公開する。

主演も監督自身というこのSFアクションスプラッタコメディ映画、邦題にすると「怒りのカンフー」だろうか。
台詞の翻訳も「だろうか」ぐらいで丁度よく、はっきり言って台詞が解らなくても理解できる。
そういえば、映画館で観ることが普通だった時代、台詞を聞き飛ばしてしまうようなことは当たり前にあった。

友達や彼女と一緒にワイワイ雑談しながら観ても、大筋が掴めたらオッケー、充分に楽しんでいたのだ。

Tech Noir - "GUNSHIP" GUNSHIP
INgrooves / Horsie In The Hedge LLP

同世代はガンシップのMVを観て、笑うんじゃない、泣くんだよ。