入室を促され、ドアを開けた。
結構広い、100平米くらいあるだろうか。
法廷に入ると、最初に傍聴席があった。
次に、低い木製の柵があり、娑婆のこちら側とお白州の向こう側を仕切っている。
「原告の何々さん、被告の何々さんですね、それぞれの席へどうぞ」
柵の扉を開いて、向こう側に入る。
まず証言台があり、対面する位置に裁判官や書記官などが6人ほど座っている。
傍聴人を観客とするなら、原告は下手、被告は上手に座る。
「事件番号、平成二十四年 第何々号、開廷します」
なんというか。
可笑しいというか。
正直、こんなに本格的な裁判だとは予想していなかった。
「被告 何々、あなたは本人に間違いありませんね?」
間違いありません。
そう答えながら、開廷すると「何々さん」ではなく「何々」と呼ばれるんだな、と思った。
ちなみに、刑事は被告人、民事は単に被告、と呼ばれる。
最近、目の焦点が合いにくい。
Riverside - Agnes Obel, Mv : Alex Brüel Flagstad