December 1, 2012

呼吸

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders.

訳すと「精神障害の診断と統計の手引き」、略して DSM と呼ばれる。
WHOの「疾病および関連保健問題の国際統計分類」、通称 ICD と双璧をなし、両者の統合も検討されている。
各国の医療機関が準拠し、日本でもこの手の話題には必ず引用される。

Ulysses - "AEOLIAN" Om Unit

それ(DSM)について、最初は診断(Diagnostic)の D だと思っていました。
最近、ダーツの標的(Dart board)の D なんじゃないかと思っています。
精神科医 ディレップ・ジェステ

どんな薬でも副作用なんてありません。
薬には作用しかないんです。
私たちは都合の良い作用だけを薬の効果と思い込み、気に入らない作用は副作用と言う。
ダイナマイトでビルを爆破したら、人まで殺してしまった。
それを知って「人が死んだのは副作用のせいだ」と主張するようなものですね。
作家 ダナ・ウルマン

Shut Up & Let Me Go - "We Started Nothing" The Ting Tings

ふと、思ったんです。
薬は症状をなくしているのではなく、感じなくしているだけなのではないか、と。
症状は確かにあるのだけれど、それを感じない。
自分の感覚を感じることのできない自分。
あるいは、感情のスイッチが切れている自分、と言ってもいいかもしれません。
患者 ジェーン・グローデンシック

私たちの社会は集団としてまとまっていて、教室で椅子に座り、机に向かっていることが期待される社会です。
別の学校制度、別の教育環境、別の社会が存在しないかぎり、この社会で生きていかなければなりません。
現実の社会で生きていかなければならないんです。
患者の母親 ジル・クアッドランド

Sweater - "We The Young" Willow

ある精神科医が証言するために座っていたので尋ねました。
MIRスキャンを試しましたか。
 - いいえ。
CATスキャンは試しましたか。
 - いいえ。
医学的な血液検査を試しましたか。
 - いいえ。
それでどうやって、脳の化学物質に不均衡があるという診断に至るんですか。
 - カウンセリングした結果だからです。
患者と話して観察しただけ、これではただの推論です。
全米家族権利協会会長 ウィリアム・タワー

Mipmap - "The Secret" Moonbeam

12歳の時、視力検査に連れて行かれて、そこで初めて眼鏡をかけたんです。
その時、私はこう叫びました、これが本当の世界なんだ、と。
薬はこれと同じことだと思いますね。
目に眼鏡をかけるのと同じように、患者は脳の神経系に眼鏡をかけるのです。
精神療法士 ジェームズ・グッドウィン

人や魂といったことになると、科学的ということは必ずしも真実ではなくなります。
人の心が単なる化学反応で、薬によって整えることができる、というのはあまりにも単純な物質主義です。
人は、遥かに、それ以上の存在です。
精神科医 ピーター・フレガン

Hands - "A Is For Alpine" Alpine

体の外側に発現するものがマインド。
体の内側で渦巻くものがハート。
それらを深奥で司り、宗教によっては死後も存続すると考えられるものがスピリット。

スピリタス(Spiritus)、古代ラテン語の名詞で呼吸という意味が語源だそうだ。