March 19, 2016

経歴

つい先日、ある会社(甲)から正社員(乙)で採用したいので面接を、という電話があった。

この歳で就活してみると痛感するが、書類選考が通るだけまだマシ。
しかも正社員なのだから本当に有り難い話で、我がままなんか言ってられない。
久しぶりに髭を剃り、慌ててスーツに着替え、電車に飛び乗った。

そして、一日だけ考えさせてくださいと断って面接終了、帰宅した。

どこか変というか、怪しいというか、もう一度冷静に書類を読んでみる。
なになに、乙を個人事業主として扱い、甲と正式契約し、不履行の場合は乙が全責任を負う、って何でやねん。
要は、正社員という名のフランチャイズ経営者を倍々に増やし、胴元を太らせていくようなシステムか。

詐欺とは言わないが、一息ついて判子を置くと、頂いた書類を細かく細かく細か~く千切ってゴミ箱へ捨てた。

"Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events" Brad Silberling
Paramount Pictures & DreamWorks Pictures

某ニュース番組に出演していた、某コメンテーターの方が経歴詐称だったらしい。

たまにその某ニュース番組を見る機会があった。
実は、いろいろな出演者の中で、その某コメンテーターの方が一番まともだと思っていた。
無難な発言しかしないというが、それであそこまでそれらしく見せるのだから、それはそれで凄いと思っていた。

正直、悪い人に見えなかった。

経歴詐称だと知って、むしろ心底、凄い人だと驚き、感心してしまった。
あれだけ完璧に自分を演出できるというのは、一種の抜きん出た才能だと思う。
それは、自分で職務経歴書を書いてみるとよく解る。

嫌味を感じさせないという点も凄い、フィクション前提の映画でも至難の技だろうに。

"Now You See Me" Louis Leterrier
Summit Entertainment & K/O Paper Products

よし、次回の職務経歴書はほんの少しじゃなくて、思いっ切り盛ってみることにしよう。