July 30, 2012

風鈴

暑苦しくなる曲、涼しくなる曲って、あると思うんですよ。

そう感じる理屈は解らないんだけど、あると思う。
何故か、シンセとかマルチとかを多用した曲って、涼しく感じる曲が多い気がする。
エアコンいらず、とまではいかないけどね。

そういえば、もう何十年も、風鈴って買ってないなあ。

 I'm Not In Love - 10cc, Vo : Eric Stewart, Mv : BBC Live


タンバリンをシャンシャンやって口笛吹いてるのが、ドラム担当のデビー。

ややこしいんだけど、このデビーがもうね、プロデューサー(デビッド・カーン)との相性が悪かった。
怒ったデビッドは、ドラムなんかリズムマシンにでもやらしとけ、と。
メインボーカルはビッキー、ミッチェル、スザンナの三人で回して、デビーには歌わせるな、と。

生き残ったデビーが、そう言われてみればヤケクソにも見えて、涼しくはない。

 Walk Like An Egyptian - The Bangles, Vo : Vicki & Michael & Susanna, Mv : Gary Weis


こないだ、アシスタントが「あのモデル、モディリアーニの描く女の人みたいですよ」と言ってきた。

お前ね、そういうことは滅多に口に出すもんじゃないよと咎めつつ、どれどれと見てみた。
お前ね、あれがモディリアーニだったら、こっちはムンクの叫ぶ人になりたい気分だよ。
お前ね、覆水盆に返らずって知ってるか、知らないか、そうか知らないか。

まあ別にいいや。

                ↓

July 25, 2012

芝居

高校生の時。

クラスメートに演劇部の女子が一人いた。
放課後、美術部の隣が演劇部の教室だったので、彼らが台本を読む声はよく聞こえた。
その中で、一番よく通る声が彼女だった。

 Katz's Delicatessen - "When Harry Met Sally..." Rob Reiner


演劇部が舞台で使う大道具や小道具の制作を、美術部が担当することもあった。

そんな時、お互いにクラスメートだから話しやすくて話すが、それだけである。
これといって好きや嫌いということはない。
彼女は、ごく普通の子だった。

 Tessellate - Alt-J ∆, Vo : Joe Newman, Mv : Alex Southam


しかし、彼女は教室でも部室でも浮いた存在だった。

演技力があったからである。
学年や男女に関係なく抜群の、いや、異様と言ってもいいほどの演技力だった。
思春期の集団心理に均衡などなく、常に偏るその反対側に、彼女はいた。

 Obsessive-Compulsive Disorder - "Matchstick Men" Ridley Scott


舞台道具の制作を手伝っている時、顧問の教師がこう呟いたのを覚えている。

もう少し抑えるように言え、と。
彼女にあまり本気を出して演技しないように誰か言ってやってくれ、という意味である。
教師も生徒も、彼女の演技を脚本と配役の中でまとめる力量を持っていなかった。

 Go - Delilah, Vo : Paloma Stoecker, Mv : Patrick Killingbeck


情けない。

派手な身振りとか大きな声とかではなく、本物の演技。
これをまともに受け止められる人間がいなかった。
あの日、あの時、彼女の演技は凄いんだと口に出せなかったことを、本当に、情けなく思う。

 My deepest sympathies, Ma'am. - "In the Valley of Elah" Paul Haggis


組織の力学は、何処も皆同じだ。

論も法もない、慣れ合いの芝居。
上も下も、右も左も、前も後も、中も外も、気持ち悪い。
せめて、今、彼女が存在すべき場所に存在していることを願う。

 Remembrance - Balmorhea, Gu: Rob Lowe, Ba: Michael Muller, Vi: Aisha Burns, Mv: Jared Hogan

July 23, 2012

梅酒

年収が2万ドル以上の人は、先進国で最低限の暮らしができる。

そして、年収が3万ドル以上ある人は、地球の総人口の1パーセントしかいない。
つまり、金持ちの部類になる。
専門家に依ると、そういうことらしい。

あれだけ刷ってるドルは何処へ消えてるんだ。

 Soft - Washed Out, Vo : Ernest Greene, Mv : Vimeo

梅酒のグラス、からんと鳴って、そこに夏。

July 16, 2012

某々

某月某日、某ホテル、バックヤードの喫煙所。

やってきた彼女は、あからさまに不機嫌な表情だった。
隣に腰かけると、空気清浄機能のあるテーブルに会社持ちの携帯電話を置く。
まったく、本当に困るんですよね、現場の連絡ってものがなんとかかんとか、以下小言が続いた。

鼻息荒くメンソールを焚く彼女を横目に、会社から借りることになった携帯を手に取る。
だから、あの撮影の後でタクシー移動って指示がそもそもの原因だとか、こちらも言い訳を云々。
まあ何かあれば、マネージャーの君に連絡が入るんだから問題ないじゃん、とは言わないが。

先日、タクシーの中に携帯を置き忘れて、丸々3日間、手元に携帯がなかった。
自分では、携帯を使わない方だと思っている。
普通の携帯だし、それすらあまり使わないのだから、スマホなんてまったく興味がない。

と、思っていたが、携帯のない丸々3日間を過ごしてみて驚いた。
電車に乗っても、タバコを吸っても、ベッドに入っても、携帯がないと本当に何もやることがない。
いつも携帯を入れているポケットが着信で震えているような気がする錯覚もあった。

何もやることがないので、何かしてみようと試みた。
首を傾げたり、指を鳴らしたり、貧乏ゆすりをしてみたり、ストレッチのようなことをしてみたり。
どれも駄目で、携帯を持っていれば携帯をいじっていたであろう時間を、上手く消化できなかった。

自分では、暇な時間にぼーっとするのは辛くない方だと思っていた。
ところが、携帯によっていつの間にかぼーっとできる耐性がかなり下がっていたようだ。
そう考えると、スマホなんて持ったら依存どころじゃなくなる。

だからなんなんですか、と冷静に返されて、タバコを消した。



某月某日、自宅、台所。

換気扇の近くに机を移動し、そこにノートPCを置いて起動する。
撮影データを落として、ざっと眺めながらおおまかなセレクトの見当をつける。
あれも、これも、またもや青が上手くいかない。

ニコンのハイライトは青が強い。
ホワイトバランスの設定は当然として、他にも調整してみるんだが、いつもこの青で苦労する。
報道関係の締め気味な露出なら問題ないが、こちらは最終的に飛ばし気味の露出へ持っていく。

特に白のハイライトを追い込むと、この青が邪魔になる。
会社指定の備品なので文句を言っても始まらないが、これと思うカットに限って青が強い。
それがまた、レタッチのバッチでは一気に済まないような、絶妙な不揃い加減なのだ。

レタッチが当たり前になると、レタッチしてない方が変なんじゃないかという錯覚に陥る。
何も手を加える必要のないまともなカットなのに、手を加えるべきと穿って考えてしまうようになる。
着信がないのに、ポケットに入れた携帯が震えた気がする錯覚と同じかもしれない。

そういう意味では、よほど心しないと、素直に見ることができない。
レタッチで怖いのは、最終的な絵作りの何もかもが平坦になってしまうことだ。
パワーツールは、アクセルワークよりもブレーキワークが肝心。

タバコを消して、換気扇が回ってないことに気がついた。



某月某日、某スタジオ、駐車場に面した喫煙所。

セッティングを済ませ、先に一服していたアシスタントがペコリと一礼してきた。
彼はまだ学生で、通っている大学はこの世界とは全く関係がない。
しばらく前に、中退するかしないかで悩んでいる、という話を聞いた。

あれから結局、どうするつもりなのか。
やはり中退するつもりで、本格的にこの世界に入りたいという。
その心意気や良し、なんて言わない。

絶対に辞めるな、石にかじりついてでも卒業しろ、と力説した。
いいか、事故りたくて自動車保険に入る奴、癌になりたくて癌保険に入る奴、いないよな。
つまり、そういうことなんだよ。

学費を親が支払ってくれてるなら、尚更だ。
何の役にも立たない、つまらない、下らない、馬鹿みたいな支払い損でいいんだよ。
だって保険なんだから。

仮に、保険が役立つ時があったとしたら、それって人生においてピンチの時ってことだろ。
後で入っときゃよかった、卒業しときゃよかった、なんて悔やんでも遅いんだよ。
もちろん夢を語るのは構わんさ。

でもな、ピンチも夢も、先のことは誰にも解らないんだから、確率として同率だろうが。
主観的だからこそ、ピンチに怯えたり、夢に賭けちまうんだ。
客観的に自分を見つめることが出来るってんなら、気軽に中退なんて選ばないはずなんだ。

そうそう、夢を簡単に認める奴がいたら、絶対に信用するなよ。
そいつはお前さんのことを間違いなく真剣に考えてないって証拠だ。
珍しくいろいろ話してくれますね、何でですか、と聞かれて一気に冷めた。

この歳で家族に迷惑かけてる身だからな、とだけ答えてタバコを消した。


July 10, 2012

分析

このブログを Google の Blogger で開設してから、半年くらい経つ。

以前、別の場所でブログを開設していたが、なんとなく使いにくさを感じて Blogger へ乗り換えた。
だから、このブログで二度目の開設ということになる。
他の場所もよく知らないのだが、Blogger は使いやすいと思うし、多機能だ。

お世辞ではなく、完全無料の条件でこれだけのシステムを提供しているのは驚く。
ただ、面倒くさくて、恐らく90%以上の機能を使ってないと思う。
テンプレートを選び、フォントやカラーに少し手を加えたくらいである。

で、管理者画面に入ると、いくつかの情報が自動的に表示される。
その中のひとつに「どこの国からアクセスがあったか」という情報がある。
何故だか知らないが、国別のアクセス件数はツートップでロシアとウクライナだ。

日本からのアクセスは、ほとんどない。

 It's a unicorn - "The Gift" Carl Erik Rinsch, Pr : Philips Cinema & Ridley Scott Associates


キヤノンが、今年の秋から西東京市で巨大なデータセンターを開設する。

データセンターの至上命題は、絶対に止まらないこと、だそうだ。
企業によっては、原発並みかそれ以上の管理体制、らしい。
地盤を調査した地下に隠して設置、核シェルターのような施設になる場合もある、という。

ちなみに、Google のデータセンターについては、何もかもが非公開、だそうだ。
本社の社員ですら、知っているのはごく少数に限られる、らしい。
アクセスできるのは、遺伝子の塩基配列を量子暗号化したパスワードを持つ社員のみ、という。

こうなってくると、もう都市伝説みたいである。

 Cube is all - "PIXELS" Patrick Jean


それはそうと。

トランスフォーマーという作品シリーズがある。
元々は日本のタカラトミーが発売していた変形ロボットの玩具だ。
以前から主に欧米で人気があったが、2007年にハリウッドで映画化されて世界中で人気となった。

今や超巨大コンテンツなので、詳しいことは他のマニアに任せる。
ここでは映画版トランスフォーマーのヒロイン(恋人役)について、ちょっと書きたい。
1作目と2作目で、ヒロインのミカエラ・ベインズを演じたのがミーガン・フォックスだ。

このミーガンが、プライベートで両作品を散々こき下ろした。
もともとの素行も悪かったせいか、これが叩かれまくる。
あの温厚なスピルバーグさえ、激怒したらしい。

このゴシップを知った時、なんとなくだが、あんまりミーガンが悪いような感じはしなかった。
というよりも、ミーガンが文句を言いたくなるのも解る気がした。
要は、彼女は男に対して「バッカじゃないの」と言っているのだ。

この映画はあまりにも、「男はいい車といい女があればそれで満足」的な安易にすぎるのだ。
娯楽作品とはいえ、こういう単純すぎるマッチョイズムはどうにかならなかったのか。
映画化できるヒーローを消費しつくしてしまったハリウッドの今後の大きな問題点だと思う。

もっと簡単に言うと、体育会系のビジネスマンが学生時代に好きそうな要素が満載なのだ。
車の趣味も女の趣味も、飲み屋で学生時代の武勇伝として聞かされそうな設定と言えばいいか。
聞いてて、いや違った、観てて鬱陶しい。

まあ、体育会系のビジネスマンたちが大金を出してくれたから、映画化できたんだけどね。

 Megan Fox as Mikaela Banes - "Transformers" Michael Bay


このミカエラ、車に詳しい。

どのくらい詳しいかというと、エンジンを見ただけで故障個所を言い当ててしまうくらい詳しい。
このあたりも、「男の趣味に理解のある女」として、都合よく描かれすぎている。
美人でセクシーで、男の持ってる車を修理できちゃう女って、ミーガンでなくてもアホらしくなる。

そして、この騒動でミーガンは降板、最新作の3作目で新しいヒロインが登場した。
新しいヒロインのカーリー・スペンサーは、ロージー・ハンティントン=ホワイトリーが演じる。
これがまた、学生時代は無茶やってたけど、今は良妻賢母を探すビジネスマンが好きそうな設定。

カーリーは、美人でセクシーで、外交官秘書という設定。
就職浪人中の主人公とホワイトハウスで偶然出会い、優しく見守りながら養ってくれる、そうです。
なんというか、ベタすぎるって思わなかったんだろうか。

何億、いや、何百億円の製作費で、このベタさ。
あれ、何百億円だからこそ、ベタな設定にしかできないのか。
そういう意味じゃ、水戸黄門で由美かおるのお風呂シーンが鉄板になってるみたいなものなのか。

まあ、世の中は体育会系のビジネスマンたちが頑張ってるから、回ってるんですけどね。

 Rosie Huntington-Whiteley as Carly Spencer - "Transformers 3 : Dark of the Moon" Michael Bay


ただ、マイケル・ベイ監督のインタビューを読んだが、あれはあれで納得もした。

赤字になったことが一度もなく、億単位の利益を毎回出しているという結果は、やはり凄いことだ。
体育会系ビジネスマンの打算に対して、毎回応えられる作品を撮る監督なんて、そうそういない。
でもね、やっぱりお金で語られると、ひくんですよ。

なんでって、どんなに高級なスーツ着てても生活臭くてカッコ悪いじゃん、ね。

 Mustache Man - CAKE, Vo : John McCrea, Mv : Alicia J. Rose

July 9, 2012

夜話

ピカソはこう言ったらしいよ。

秀才は真似るだけだが天才は盗む、って。
同じようなこと、ストラヴィンスキーも言ってる。
どうなんだろうね。

才能ある人はいっぱいいる、それは確かだろうね。

 Somebody that I used to know - ARMY of 3, Vo : Ingrid Michaelson, Mv : Dylan Steinberg, Or : Gotye


今日の晴れ間、梅雨時の晴れ間だったけど、気持ちよかった。

昔、婆ちゃんの家の縁側で昼寝している時の、あの空気の匂いを思い出したよ。
庭に池があってさ、小さな池だったけどね。
朝のラジオ体操の後の水撒き、夕方の買い物の後の水撒き、よく撒いたな。

夏休みの思い出って、そういう何気ない日常の方が記憶に残るのかもね。

 She can't be this big, you know! - "A Guide to Recognizing Your Saints" Dito Montiel


面白い話を聞いたんだ。

あのね、逃亡する人間っていうのは、どうも西へ逃げるらしいんだ。
うん、西の方向なんだって、理由はよく解らないけど、そういう傾向があるんだって。
いや、コリオリ力は関係ないと思うけどな。

月の影響で、オオカミになったり、生理になったり、するかもしれないけどさ。

 Don't Stop (Color on the walls) - Foster The People, Vo : Mark Foster, Mv : Daniels & DRS


もう、逃げる気力はないよ。

ただね、必要なものって、ほとんど何もないんだってことは解ったな。
食べれて、寝れて、そうだな、あとは適当に風呂にでも入れれば、もう後は何もいらない。
何かを持てば、それを持ってなきゃならない。

誰もいない土地で、何もない家に住むっていう、不可能だろうけど、未だに夢だよ。


 You don't want to tell me what happened? - "The Money Pit" Richard Benjamin


不安定の極み、だもんな。

お金ってのは、今更ながら凄い発明だよ。
信用度や価値観を数値化して、それを紙やカードで手にできるんだから。
これは本当に凄いことだよ。

凄いことだよ。

 Paper Planes - M.I.A., Vo : Maya Arulpragasam, Mv : Bernard Gourley

July 7, 2012

欣求

ある国で、戦争が始まった。

幼稚園では、怯えた子供たちが不安そうな表情で震えている。
人々の悲鳴に耳を塞ぎながら、保母は子供たちを奥の部屋へ匿う。
そして、保母は幼稚園の柵の向こうに立ち昇る爆煙を見上げながら、こう言った。

ご覧、あれが、あなたたちが大きくなったら行く世界よ。

 No Church In The Wild - Jay-Z & Kanye West, Ft : Frank Ocean, Mv : Romain Gavras


これが何だか解るか?

1ディーム銀貨だ。
パンなら一斤、油なら一本の価値がある。
だが、ゴゼの追い剥ぎは、この銀貨ひとつのために人を殺す。

そう思えば、大金だろ?

                       「王立宇宙軍 オネアミスの翼」 山賀博之

 Don't say one fuckin' word, Okay? - "Jackie Brown" Quentin Tarantino


雨が全てを流すように。

木々が芽を出すように。
鳥が山を越えるように。
光が闇を照らすように。

どうか、一人でも多く、あなたの日々が平穏でありますように。

 Nokia Shorts Competition 2011 - "Splitscreen : A Love Story" James W. Griffiths

July 2, 2012

噤紡

気が付いたら5分は経っていた。

コンビニの飲み物コーナー。
ペットボトルや缶ではなく、ストローを挿して飲むような飲み物のコーナー。
アイスコーヒーを買おうとして、予想外に迷った。

レジに行く。
タバコの銘柄を伝えながら、150円くらいの値段のアイスコーヒーを置く。
店員の女の子はタバコを手に取ると、振り向きざまにこう言った。

「これ、美味しいんですよ」

 Awkward - San Cisco, Vo : Jordi Davieson & Scarlett Stevens, Mv : Andrew Nowrojee


「200円以上なら、店に行った方がいいよね」

100円前後はまあそういう値段の味、200円以上になるとドトールなどの店の味と被る。
そうすると、コンビニでちょっと凝った選択なら150円前後のアイスコーヒーが妥当なのではないか。
そういう意味で、咄嗟に応じて言葉を返してしまった。

店員の女の子はその意味を呑んで、賛同してくれたらしい。
らしいが、話は続かない。
お金を払いながら、何も言わなければよかったと後悔した。

ボールは床に落ち、転がって、止まった。

 Somebody that I used to know - Gotye, Vo : Wally & Kimbra, Ft : Kimbra, Mv : Natasha Pincus


どんな物語でも、出だしは面白い。

どんな物語でも、だ。
その先には無限の選択肢、大きな可能性がある。
どうなるんだろうと思わせてくれること以上に、面白いことはない。

どんな物語でも、進むにつれてつまらなくなる。
選択肢はどんどん減り、可能性はますます押し潰されて小さくなる。
予想外の展開とかよく言うが、選択肢が減るという現実がある以上、それは幻想にすぎない。

どんな物語でも、結末は残酷だ。
選択肢はもう何も残っていない。
つまり、ハッピーエンドであっても、可能性は無になっているという証明だ。

だから、何度でも、飽きずに、人は物語を紡ぐ。

 She Wants - Metronomy, Vo : Joseph Mount, Mv : Jul & Mat, Solab