November 18, 2012

演出


一日中、雨。

正確には「東京は、雨」じゃなくて「千葉は、雨」。
同じ関東圏でも、こちらは季節が一足早いような気がする。
カーテンを開けても部屋の中が暗いし、昼間でも寒い。

家の前が幹線道路の抜け道になっているので、結構な数の車が通る。
窓から外を見なくても、車の走行音で路面が濡れているかどうかが解る。
人が歩いてる姿は、ほとんど、まず、これっぽっちも、見かけない。

狭い道なのに、車が物凄いスピードで走り抜けていく。


"Vampire's Kiss" Robert Bierman

サイドベンツのジャケットは、最近では滅多に見かけない。

タクシーの運転手をしている時、制服のジャケットがサイドベンツだった。
一着目は会社が支給してくれて、二着目からは自前で購入するように、とのお達しだった。
勤務体制からいって二着目の必要は感じなかったが、購入しようとすると大変なことも知った。

今、普通の店にサイドベンツは置いてない。
置いてある店は、老舗の仕立屋になってしまう。
乗馬の際に着崩れないように、という工夫からサイドベンツが考案されたのだそうだ。

昔は一般のサラリーマンもよく着ていて、親父の箪笥に吊ってある数着もサイドベンツだった。

演出では、主役以上に脇役が重要になる。

レジの女の子、シーラ役はデディー・ファイファーが演じている。
カラオケで同じようなバイトをしていた頃に観たからなのか、シーラの演出にえらく感心したことを覚えている。
いるよね、こういう女の子。

フォスター、店長、お客たち、状況として彼らには誰でも目がいく。
誰もが見るわけではないが、その彼らを取り巻く世界感を作り上げているのが脇役だ。
脇役の演出によって、深刻なのか、不条理なのか、能天気なのか、といった作品の味付けが決まる。

深刻だから深刻に、それでは深刻にならないのだ。

"Falling Down" Joel Schumacher