January 16, 2013

遅配

千葉県何々群其々町、24時間スーパー、荷降ろし場。

今朝は冷えますね、店長。
ん、冷えるな。
風の唸りに、微かに遠雷の響きが混じる。

このまま、待機を。
雪も凍る早朝に、何処かで救急車のサイレン。
時間です、店長。

時間か。
確かに、時間だな。
トラックが一台も停まっていない荷降ろし場を眺め直すと、店長は事務室へ向かった。

"The Hunt For Red October" John McTiernan

なんてことを冗談で考えてる場合ではない。

先日、正午過ぎから振りはじめた雪は、以降の客足を完全に止めてしまった。
同時に、翌日早朝までに到着するはずの仕入れのトラックも止めしてしまった。
在庫と賞味期限の歩調が狂い始める。

担当している商品で賞味期限がシビアなのは、牛乳やヨーグルト、豆腐や納豆など。
特に豆腐は大量に残っており、急遽、特売コーナーとして平場(ひらば)を組むことになった。
すると、関係ない商品なのに、これも並べてくれよ的な割り込みが入る。

クリスマス用のホイップクリームだ、正月用の漬物だ、皆が隙あらば不良在庫をさばこうと虎視眈々としている。
この前間違って大量に仕入れた豆乳を一緒にどうか、とか、ソーセージに譲って損はないぞ新人、みたいな。
説明を聞くと、確かに豆乳は豆腐の親戚だし、確かに最近のコンビニのおでんにはソーセージが入ってる。

ここらへんの駆け引きは古参も新人もあまり関係がなく、アイデア次第で結構自由に平場を組める。
ただ、値引き率の決定権だけは艦長、じゃなかった、店長にある。
持ってけ泥棒の売り札を貼っても、実はばっちり採算が取れていたり、本当に捨て値だったりする。

なんだかよく解らないまま、いつの間にかキュウリのキューちゃんが3割引きになってしまった。

Save money. Live better. - Walmart
目指すはウォルマート、とのこと。