January 30, 2013

慟哭

あはは。
こいつはいいや。
ははは!

やい、お前ぇたち、いってぇ百姓をなんだと思ってたんだ。
仏様とでも思ってたか、ん?
笑わしちゃいけねえや、百姓くらい悪擦れした生き物はねぇんだぜ。

くそっ!

米出せっちゃ、ねぇ!
麦出せっちゃ、ねぇ!
なにもかもねぇ、ってぬかす。
ほっ、ところがあるんだ、なんだってあるんだ。
床板ひっぺがして掘ってみな、そこになかったら納屋の隅だ。
出てくる出てくる、瓶に入った米、塩、豆、酒!
山と山の間に行ってみろ、そこには隠し田だ!

正直面してぺこぺこ頭を下げて嘘をつく、なんでも誤魔化す!
どっかで戦でもありゃ、すぐ竹槍作って落武者狩りだ!
よく聞きな、百姓ってのはな、けちん坊でずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ!
ちきしょう、悔しくて涙が出らぁ!

だがな、そんな獣を作りやがったのは、いったい誰だ。

お前ぇたちだよ、侍だってんだよ!
戦のたびに村を焼く、田畑を踏み潰す、食い物は取り上げる、人夫はこき使う、女を襲う、手向かえば殺す!
いったい百姓はどうすりゃいいんだよ!
百姓はどうすりゃいんだよ、百姓は!
ちきちょう、ちきしょう!

ちきしょう!
村人たちとの談義後、菊千代の台詞(一部略)  「七人の侍」 黒澤明

Surfing on a Rocket - "Talkie Walkie" Air

世の中を動かしたい者が、世の中を動かしている。

罪人に石を投げるな。
しかし、投げろと言われて、投げてしまう者もいるだろう。
投げたくない者はどうすればいい?

本当に、どうすればいんだろう。