意外に真面目にやっているようだ。
周辺に上司がいないからなのか、多少の雑談も混じっているのが聞こえる。
先々週からの研修で、既に打ち解けあっている所為もあるんだろう。
「それってコンニャクだっけ?」
「違うっつーの」
「シラタキでしょ、バーコード読めば解るじゃん」
棘のない、親しみを込めたタメ口。
ふと、そういえばここ数年、そういうタメ口で気兼ねなく話せるような同僚が周りにいないな、と思った。
四十を過ぎて職を転々としていれば当たり前で、若手は無理矢理にでも敬語を使ってくる。
同年齢や年上になると、いくら無礼講を勧められても本当のタメ口になる機会はまずない。
いつも、なんで自分は敬語からタメ口になるのがすごく遅いんだろうと思っていた。
見栄っ張りだから、なんだろうか。
それでいて、いざタメ口になると、その相手にはとことん甘えてしまう。
それじゃ駄目だろう、みっともないだろう、だらしないだろう。
臆病者め。
Shape of My Heart - "Ten Summoner's Tales" Sting |
なんとなく、ぼんやりとした不安。