うーん、だって10歳の時だよ。
ピンクレディのUFOを皆で真似て「ユッホ!」とかってフザけてた頃だもん。
歌詞の意味なんて解るわけないよ。
なんでこのレコードをくれたのかなあ。
理由なんて聞かなかったよ、叔父さんがいらないって言うから、もらっただけ。
離婚した叔父さんの引越しに婆ちゃんが手伝いに行って、一緒についてったら、くれたんだよ。
歌謡曲を、ちゃんとしたレコードとちゃんとしたステレオで聴いた、初めての曲なんだよね。
童謡のレコードなんかはあったけど、他は親の持ってたクラッシック音楽ばっかりだったからさ。
家に帰って聴いた第一印象は馬鹿なんだけど、なにこれ暗っ!
ただね、歌手の声っていうのは凄いもんなんだなあ、と素直に思った。
それはスピーカーを通しても感じたよ、どんなに真似しても真似できない格というか。
サビはもちろんだけど、出だしがね、聴くと簡単だけど、もう出だしから難しいんだよ。
今回、動画を探しながらいくつか聴いたんだけどさ。
やっぱりレコードに収録した時期の声が、段違いによくてビックリした。
特に後半の「恋人よ、さようなら」から先の歌い回しは、いい意味で、若さ故に成し得たんだと思う。
素直に聴けるようになったのは三十代になってくらいじゃないかなあ。
中学頃からしばらくの間、言葉が嫌いで嫌いでしょうがなかったから。
歌詞が、という意味じゃなくて。
言葉そのものが嫌いだったんだよ。
言葉って、解ったと思うと、またその奥や周辺に何かがあるような気がしてさ。
きりがなくて、深く立ち入るのが怖かったんだろうね。
うん、これ木田高介のことだよ。
そういう風聞も全部ひっくるめて、歌謡曲っていうのは歌詞が、ひとつひとつの言葉が、もう、ね。
最近、もしかしたらテクノっていうのは、あの頃の逃げだったのかもって思うことがあるもの。
すごく好きなんだけど、やっぱり書こうとすると、重くなるね。
Koibito yo - "Koibito yo" Itsuwa Mayumi |
好きなんだけど、重いんだよ。