探してる本があるわけじゃない。
でも、本屋に立ち寄って、選んで、買って、読む、ってことがしたい。
ただそれだけのことが、したい。
それは、とても贅沢な時間だ。
つい先日まで、知らなかった。
この町には、なんと、図書館があったのだ。
地元ではそれなりに有名な代議士が役所に働きかけ、数年前に建ったのだそうだ。
二階の窓から線路の向こう側にちらっと見える、あの屋根って図書館だったのか。
よし、行ってみよう。
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休日になり、行ってみた。
図書館の外観はとても綺麗で、まったく周囲に溶け込んでいない。
道路に面した正門から建物の入口まで結構な距離があり、全て駐輪場になっているが、一台も停まっていない。
誠に結構、お役所仕事とはこういうものだ。
嘘みたいな話だが、この辺りでは珍しい存在の自動ドアが、音もなく開いた。
凄い、広い。
天井の高い壁面は全面ガラスで、とても明るい。
書架と書架の間、通路の幅に余裕がある。
それでいて、蔵書量は意外にありそうだ。
さっと見渡して、利用者がたったの三名様くらいというのも最高だ。
貸出カードを作りたいんですが。
受付に誰もいなくて、辺りを見回す。
すると、利用客だと思っていた一人の女性は、司書さんだった。
彼女は慌てる様子もなく受付に戻ってくると、申込書を手にしながら身分証はあるかと尋ねてきた。
ああ、この町の住人なんですが、住民票がないから住人ではないような、ええ、すみません。
貸出カードを手に、書架の間を一通り歩いてみる。
それにしても、本当に静かだ。
利用者が少なすぎて、ほとんど声が聞こえない。
こんなに立派な図書館なんだから、もっと騒々しくていい。
その方が、天使たちだって寂しくないはずだ。
さて、ダニエル、何を借りようか。
受付に誰もいなくて、辺りを見回す。
すると、利用客だと思っていた一人の女性は、司書さんだった。
彼女は慌てる様子もなく受付に戻ってくると、申込書を手にしながら身分証はあるかと尋ねてきた。
ああ、この町の住人なんですが、住民票がないから住人ではないような、ええ、すみません。
"Harry Potter & the Half-Blood Prince" J. K. Rowling |
貸出カードを手に、書架の間を一通り歩いてみる。
それにしても、本当に静かだ。
利用者が少なすぎて、ほとんど声が聞こえない。
こんなに立派な図書館なんだから、もっと騒々しくていい。
その方が、天使たちだって寂しくないはずだ。
"Der Himmel über Berlin" Wim Wenders |
さて、ダニエル、何を借りようか。