和日配は、豆腐や納豆、蒲鉾や蒟蒻、ソバやウドン、梅干しや漬物など。
洋日配は、牛乳やヨーグルト、バターやチーズ、ゼリーやプリン、コーヒーやジュースなど。
食卓の基本となる食品が中心なので、日々満遍なく仕入れ、日々満遍なく売れる。
ちなみに、常温で保存が可能な、賞味期限の長い食品は別の担当になる。
同じ麺類でも乾麺ならインスタント系の担当、同じジュースでも缶なら飲料系の担当といった具合だ。
ただ、そうやって別の担当だと言いきれる食品ばかりではなく、相互に連携するような食品も多い。
これが、ややこしい。
Lemon Grenade ≒ Lemonade - Minute Maid |
そして、主に平日の夜勤を担当している。
日配は休日よりも平日が重要で、特に金曜日と月曜日が忙しい。
金曜日は土日に向けて大量に仕入れなければならず、月曜日は不足分の仕入れに追われるからだ。
金曜日の深夜は山積みに、月曜日の早朝は売り切れがないように補充して、24時間営業が可能になっている。
今回は祝日があるので三連休を想定し、休み明けのバレンタイン・デーも考慮に入れている。
当然、製菓や菓子の担当者が殺気立つ。
そんな彼らを横目にヤクルトを台車で運んでいると、エプロンのポケットに入れていた端末が鳴った。
猫の手も借りたい菓子担当者からのメールで、件名に「発注確認」とある。
なんで菓子が日配に、などと思いながらメールを開いた。
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Spray More, Get More - Lynx |
仮に、2階にある衣料品の担当だったら、言われなくても特設コーナーを作ると思う。
男女の関わるイベントだから、チョコと一緒に男物のハンカチやネクタイなども如何ですか。
実際、化粧品のコーナーなどにも、風が吹けば桶屋が儲かる的なポップが飾られている。
それは兎も角、メールを読了して冷や汗が出た。
生チョコを手作りする時、生クリームが必須なんだそうだ。
コーヒー用のポーションや紙パックのクリームスープなんかが並べてある辺りが頭に浮かぶ。
確かに、そこに生クリームがある。
思いきり洋日配じゃんか。
発注の数量は通常の3倍どころではなく、150倍。
慌ててメーカーに発注して確保できたが、まだ倉庫や売り場のスペースを確保していない。
単品でも特売になるだろうし、溶かし用の板チョコと組み合わせた特価も考えなければならない。
ぜんぜん知りませんでした、つーの。
Made you look. - Specsavers |
男子厨房に入るべからず。
そこまで古風な家庭ではなかった。
お袋が女の子を欲しがっていたこともあって、台所に立たされる機会は多かった。
一方で、親父はあんまり男が包丁を握るもんではない、という人だった。
結果として、料理は御飯に味噌汁、卵焼き、といった最低限のものを作る知識しかない。
先の生クリームは、なんとか無事に間に合った。
ただ、この件を機会に、レシピに注意するようになった。
料理本にあるような凝ったレシピではなく、商品パッケージに書いてあるような簡単なレシピである。
簡単ということは最低限の材料であって、それを知らないのはスーパーの店員として不味い。
バレンタインの後は雛祭りとなるが、だとしたら甘酒を飲むことになるだろう。
甘酒を手作りするなら酒粕、酒粕はオカラや粕漬けの辺りにあるから、和日配の担当だ。
甘酒くらいなら、久しぶりに自分で作ってみようかな。
Bien chez soi, bien moins cher. - Conforama |
何事も、見よう見まねがスタートです。