アメリカの国立科学財団 (National Science Foundation, NSF) が運営するレーザー干渉計重力波観測所 (Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory, LIGO) が、ついに重力波 (Gravitational wave) を捕らえた。
2015年9月14日午前5時51分にルイジアナ州とワシントン州にある2台の検出器が補足、それを検証し、先日の2月11日にアメリカのフィジカル・レビュー・レターズ (Physical Review Letters)やイギリスのネイチャー(Nature)を通じて正式発表となった。
World Breaking News
素直に、本当に、凄い。
もしかしたら、自分が生きている間に「具体的な観測」はないかもな、と思っていた。
それをこうして、同時代に生きる者として見聞きすることができるのだ、これ以上の感動はない。
極東の半端な天文ファンでしかないが、このニュースには心から祝辞を贈りたい。
ただし、今回、日本での報道についてはひとつだけ大きな疑問がある。
メディア全体がNHKに引っ張られてしまったのだろうか。
何故、どこもかしこも軒並み、アインシュタインが「予言」した、と書くのか。
ごく一般的に考えて、科学や技術関連の記事で「予言」という単語を使うものだろうか。
「仮説」、もっと平たく「予測」あるいは「予想」なのではないか。
朝日新聞デジタル
読売新聞オンライン
ANN news CH
面倒なのでいちいち全ては載せないが、日本のメディアはどこもかしこも「予言」を使っている。
まさかとは思うが・・・ウィキペディア日本語版をそのまま信じてコピペったんじゃなかろうな。
現時点で、ウィキペディア日本語版「重力波(相対論)」の冒頭には・・・
「重力波(じゅうりょくは、英語: gravitational wave)は、一般相対性理論において予言され、後に観測された波動であり、時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象である。」
・・・と書いてある。
しかし、ウィキペディア英語版「Gravitational wave」には・・・
「Predicted in 1916 by Albert Einstein on the basis of his theory of general relativity, gravitational waves transport energy as gravitational radiation.」
・・・と書いてある。
そして、そもそも前述したLIGOのプレスリリースには・・・
「This confirms a major prediction of Albert Einstein's 1915 general theory of relativity and opens an unprecedented new window onto the cosmos.」
・・・と書いてあるのだ。
今、Google翻訳で直訳してみたけれど、それですら「予測」って出てくる。
アインシュタインや一般相対性理論のどこをどう押したら、オカルティックな「予言」が出てくるんだろうか。
それでいて、多くのメディアが「アインシュタインの最後の宿題」というフレーズをちゃんと使ってるではないか。
あなた方は普段、宿題の答を「予言」しているのか?
なんかこう、物凄く感動したニュースだっただけに、我が国の「予言」連発にはとてもがっかりしたのであった。