助手席に座りながら「おじさん、仕事あった?」、バタンとドアを閉める。
なんだよのっけから、きびしいなあ、すみませんね、ダメな大人で、どうせまだ無職ですよ。
聞いておきながら興味はないのだろう、エンジンをスタートした時にはもう別の話になってた。
雑談していると、ラジオからオノ・ヨーコが倒れて緊急入院した、というニュースが飛び込んできた。
丁度、二種免許があるとは思いつつ、やっぱり運転手はやめた方がいいなと考えていたところだった。
自分がミスった時、そのミスが他人の命に直結してしまう仕事っていうのは荷が重すぎるような気がする。
深夜バスの事故といい大阪の事故といい、体調が急変する確立は加齢と共に増すばかりで減ることはない。
信号待ちでつい黙ってそんなことを考えていたら、甥が「誰?有名人?」と聞いてきた。
最近、急に大人になった。
バレンタインのお返しをどうするかとか、まあ、年相応に色気づいてきてる。
終始いじってるスマホもゲームのアプリだけではなくなり、音楽関係のアプリなんかを入れ始めている。
ほら、あれだ、ビートルズって有名なバンドなんだぞって、前に何曲か教えただろう?
甥は「うん」と頷きつつもラインしながらなんで、聞いてるんだか聞いてないんだか。
ジョン・レノンの、と言いかけて、まあ、メンバー本人でもない人間がニュースになる理由を説明してもな。
一般には仲睦まじいと思われているし、それは「ほぼ」正しいけど、ジョンとヨーコは別居してた時期があるんだ。
ヨーコから追い出されて二年くらい別居してた時期だよ、遊びまくった悪友がハリー・ニルソンな。
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One - "Aerial Ballet" Harry Nilsson RCA Records |
いろいろあるけど、大丈夫。
今までみんな、みんな、みんながそうやって生きてきたんだ。
だから、君だって大丈夫。
大丈夫さ。