November 29, 2016

欲深

インディ・ジョーンズ第一作目「失われた聖櫃」(Raiders of the Lost Ark)のクライマックス。

Indy : Marion, don't look at it!
         Shut your eyes, Marion!
         Don't look at it no matter what happens!
インディ : マリオン、見るな!
      目を閉じるんだ、マリオン!
      なにがあっても見るんじゃないぞ!

Marion : ...... !
マリオン : ・・・・・・!

Dr. Belloq : Beautiful!
べロック博士 : 美しい!

Marion : Indy!
マリオン : インディ!

Indy : Don't look, Marion!
         Keep your eyes shut!
インディ : 見るな、マリオン!
      目を閉じてろ!

Don't look, Marion! - "Raiders of the Lost Ark" Steven Spielberg, St: John Williams, US 1981
"Raiders of the Lost Ark" Steven Spielberg
Paramount Pictures

だーから見るなって言っただろう。

夜トイレに行けなくなっちゃうぞ、って。
怖いからって付き合わされる身にもなってくれ、しかもウンチ君ときましたよ。
はいはい待っててあげるからごゆっくり、ちゃんと拭くんだぞ。

さて、インディ・ジョーンズの終作、第四作目「クリスタル・スカルの王国」は物凄い駄作だと思ってた。

だけど、こうやって第一作目を思い返してみると、クライマックスはちゃんと「対」になってるのな。
この世の全てを「知る」ことになったイリーナは、狂ったように「見える、見える!」(I can see, I can see!)と叫ぶ。
そして最後は「知る=見る」に苦悶しながら、「もうやめて!」(No more!)と両目を両手で覆って死んでしまう。

宇宙広しと言えども「見る」ことが罪深いことだと「知る」生物は、たぶん、人間だけだろうな。

In photography, like in all things, there are people who can see and others who cannot even look.
      Nadar

写真は、あらゆる物事と同じように、理解できる人間と、まともに見ることすらできない人間がいる。
      ナダール

See と Look の違いは、キリスト教的言語の哲学そのものなのかもしれない。

November 27, 2016

真偽

後追いの事実ではなく、先走りの憶測が現実を作る。

Washington Post
  You've been writing fake news for a while now     you're kind of like the OG Facebook news hoaxer.
  Well, I'd call it hoaxing or fake news.
  You'd call it parody or satire.
  How is that scene different now than it was three or five years ago?
  Why did something like your story about 'Obama invalidating the election results' go so viral?
   (almost 250,000 Facebook shares, as of this writing)

ワシントンポスト
 あなたは今まで嘘のニュースばかり書いてきました     フェイスブック詐欺の王道といった感じです。
 もちろん、騙し記事や捏造記事と呼んでますよ。
 あなたは冗談や風刺と呼んでますけどね。
 3年から5年くらい前の業界と現在を比べてみて変化はありましたか?
 あなたの書いた「オバマが選挙結果を無効にする」といった作り話はなぜ盛んに拡散されるんでしょうか?
 (執筆時点のフェイスブックで約25万シェア)

Paul Horner
  Honestly, people are definitely dumber.
  They just keep passing stuff around.
  Nobody fact-checks anything anymore     I mean, that's how Trump got elected.
  He just said whatever he wanted, and people believed everything,
  and when the things he said turned out not to be true,
  people didn't care because they'd already accepted it.
  It's real scary.
  I've never seen anything like it.

ポール・ホーナー
 正直に言って、人間はどんどん馬鹿になってる。
 あいつら右から左へ手渡してるだけなんだ。
 誰もファクトチェック(事実確認)なんてしない     思うに、だからトランプが選ばれたんだ。
 彼(トランプ)は言いたいことを言い、人々はそのまま信じて、
 それで後になって彼の言ってたことが本当じゃないと分かっても
 気になんかするわけないさ、だって既に受け入れちまってるんだから。
 本当に怖くなるよ。
 俺だってこんなの見たことないんだ。

The Washington Post. Nov, 17 2016

フェイスブックの捏造記事作家「ドナルド・トランプがホワイトハウスにいるのは俺のせいかもしれない」
ワシントンポスト、2016年11月17日

Work It (Explicit) - Nelly, feat.Justin Timberlake
NBA Highlights
President Obama
  What I'm suggesting is that the lens through which people understand politics and politicians is extraordinarily powerful.
  And Trump understands the new ecosystem, in which facts and truth don't matter.
  You attract attention, rouse emotions, and then move on.
  You can surf those emotions.

The New Yorker, Nov 28, 2016 Issue

オバマ大統領
 どういうことかというと、レンズを通して政治や政治家たちを見ている人々が強い力を持っているということです。
 そして、トランプは新しい構造の社会を理解しているし、そこでは事実や真実が重要ではない。
 あなただって気を引かれたり、感情が刺激されれば、次へ行ってしまう。
 感情の趣くまま波に乗ってしまうんです。

トランプ次期大統領を意識するオバマ
~ 愕然となるホワイトハウスの中で、大統領は彼の遺産とアメリカの未来を考察する ~
ニューヨーカー、2016年11月28日号

Vertigo - "How to Dismantle an Atomic Bomb" U2
Island / Interscope Records
このブログを読んでくれてる人はご存知かもしれない。

U2は違法アップロードに滅茶苦茶厳しい、世界的に有名なバンドの中ではおそらく一番厳しい。
今回、本当は彼らの曲「Even Better Than the Real Thing」(現実よりもっといいぜ、といった意味)にしたかった。
U2VEVOで公開していないから、諦めるしかない。

リーダーのボノは「音楽のイメージがミュージックビデオで固定されるのは勘弁」という考え方なのだ。

まあね、それも一理あるよな、ということで他の曲を探してみる。
あれはNGでこれはOKか、へー意外、などと思いながら再生してみてびっくり。
なんと公式にもかかわらず、原版のNTSCをHDにそのまま伸ばしてる、つまりアスペクト比が横伸びになってる。

公式公開でこれは珍しいというか、普通は逆レターボックス(左右の縦方向に黒マスク)するもんだが。

メンバーが全員太っちょの短足に見えてしまうのは、正にイメージを左右しかねないと思うけど。
まあ、ボノがOKなら仕方がない、今の若い世代に映像なしの音楽というのも難しいだろうし。
しかし最初に再生した時、まさに「Vertigo」(めまい)がしたぜ。

というオチが言いたかっただけで、このブログも書いてあることも全部・・・

Of course, there will always be those who look only at technique, who ask "how,"
while others of a more curious nature will ask "why."

      Man Ray

もちろん、技術的なことにしか注目できない人っていうのは必ずいて、「どうやって」と聞いてくる、
もっと好奇心のある人は「なぜ」って聞いてくるけどね。

      マン・レイ
・・・嘘です。

November 18, 2016

没閃

人類が百億人に達しようとする、そう遠くない未来。

網膜から入った映像を体外の記憶装置へ直接保存することが可能になった世界。
今やアドコンやファイザー・キヤノンといった国際企業は視覚系の生体組織を製造するまでになっていた。
これらの指数関数的に増加する膨大な映像情報に対処するため、政府は国際被写体保護税(ISPT)を制定する。
※2026年にアドビがニコンを買収子会社化、2043年にファイザー製薬がキヤノンを合併吸収。

スローガンは「全ての被写体に権利と保護を」。

空、海、山、花、動物、虫、砂粒一つに至るまで、それら自然の被写体は地球環境保護税として算出、徴収される。
ビル、家、服、車、鉛筆一本に至るまで、それら人工の被写体は所得税や消費税などから算出、徴収される。
人に対しては、年齢や生涯賃金などから算出、自撮りすら個人情報保護や社会保障と照らし合わせ徴収された。

前述のメーカーによる自動画像認識技術が常に政府のサーバーを介し、撮影一枚毎に自動徴収しているのだ。

こうして、余程の出来事でもないかぎり誰も写真を撮らなくなってしまった、ある日の早朝。
ベッドで寝ていた写真好きの主人公(高校生くらいか)は、狼狽する母親に叩き起こされて目を覚ます。
表に警察が来てお前に逮捕状が出てると言っている、そう慌てふためく母親をなだめると、主人公は玄関へ出た。

警官は「君、まず両目(に内臓されたセンサー)を切ってくれるかな」と言いながら、胸元のISPT-IDを掲げた・・・。

Clichés - Hiérophante
SoundCloud

・・・というSF小説が閃いたんだけど、やっぱりボツか。

みんなが自由自在に撮ってるはずなのに、まるでテンプレみたいになってるのが面白い。
最後、Shutterstockマークがそのままなのは笑ってしまった、確かによく参考にさせてもらってるもの。
自由意思のはずが自然と定型化してしまうっていう「無意識の縛り」のようで、ちょっと怖いね。

今この瞬間にも世界中でどれだけの枚数のシャッターが切られているのか、ホント想像もできません。

 Shoot, Shoot, Shoot.
      Diana Scheunemann

 撮って、撮って、撮るのよ。
      ディアナ・シューマン

November 15, 2016

量質

いわゆる「全米チャート」は大きくて、子供っぽい。

大きいというのは、市場規模のこと。
音楽関係の大手メーカーが純粋に音楽だけで商って五千億くらい。
もちろん世界一位で、日本はこの半分くらい。

そして、アメリカと日本だけで世界の音楽市場の半分以上を占めてる。

子供っぽいというのは、売れてる音楽のこと。
十代から二十代が好んで聴く、ポップ系のラブソングですね、これは良いも悪いもないよ。
ロックだラップだメタルだ、味付けの違いはあるけど売れ筋の考え方はアメリカも日本もそっくり。

だから、チャートだけ眺めてても、アメリカと日本は若年層以外の人達が何を聴いてるのかが分かりにくい、かな。

ちょっと羨ましく思うのは、市場規模は小さいけど欧州系のチャート。

規模が大きいのはプロダクションの多いイギリスとドイツのチャートで、それでもアメリカの三分の一くらい。
フランスやイタリア、オランダ、オーストリア、ノルウェー、ベルギー、スイスなんかになると十分の一もない。
アメリカで10位圏内に入った曲は、当然こういう国々のチャートにも結構な頻度で顔を出したりする。

だけど100位圏内で眺めると、ヨーロッパは「老若男女がいろんな音楽を聴いてるんだな」ってのが垣間見えるね。

Jamie xx's 2015 "Gosh" was shot in the Chinese ghost city of Tianducheng (浙江天都城) by Directer Romain Gavras.
The remarkable part of this music video is that it features more than 400 actors and was made without any CGI or other tricks.
Gosh (Behind the Scenes) - Jamie xx, Vd: Kim Chapiron, Pr&Photo: Mattias Rudh, UK&China 2015
Gosh - "In Colour" Jamie xx
XL Recordings / Young Turks

いろんな音楽がどんどんチャートに入ってくる、そういう多様性は、やっぱり素直に素敵だなあと思います。

November 14, 2016

複写

一昨年、クリスティーズに「聖プラクセディス」が出た。

首を切り落とされて殉教したキリスト教徒、その血を拭い清める聖プラクセディス、という一枚の油絵である。
これをある匿名の人物が約10億円で落札し、なんとそのまま上野の国立西洋美術館に寄託すると申し出た。
寄託であって寄贈ではないから所有権は匿名の人物のまま(つまり個人蔵)だが、常設展示されることになった。

丁度一年くらい前になるか、甥をダシにして一緒に国立西洋美術館へ向かった。

Saint Praxedis
Attributed to Johannes Vermeer
Oil on canvas, 102 cm × 83 cm, circa 1655
National Museum of Western Art, Japan
あった、「聖プラクセディス」。

綺麗だ、綺麗としか言葉が出ない、なんて綺麗な赤なんだ。
色々な色がある中で、実は赤はあまり好きな色ではない、個人的に苦手な色のひとつが赤といってもいい。
しかしこれだけは断言できる、この赤を正確に複写できるメディアは「ない」、画像検索なんか糞喰らえだ。

そして話には聞いていたが、この赤い布の質感にも驚いた。

サテンのようなベルベットような、光沢というよりも、布が自ら発光しているようにすら感じられる。
約360年を経てこの色味、この質感、これが保護ガラスなしで前屈みになると目の前50cmくらいで鑑賞できる。
入館料は大人430円、しかも甥は保護者ありということで無料になるんだから、バチがあたりそうだ。

気が付いたら一時間近く眺めていただろうか、呆れた甥はとっくに休憩していて、このバチあたりめ。

Mona Lisa Smile - "willpower" will.i.am
will.i.am Music Group / Interscope Records

よし休憩も終わったし、もう一度、本題を考えながら見るぞ。

本題とは、「聖プラクセディス」は誰が描いたのか、だ。
今のところ、オランダの画家ヨハネス・フェルメールが描いた、ということになっている。
断言できるまで至っていないので、但し書きも「フェルメールに所属」(Attributed to Johannes Vermeer)だ。

もし彼の真作であると断定できるような画商の売買履歴などが出たら、たった10億じゃ落札は無理だったろう。

この「聖プラクセディス」、実は模写であることが判明している。
オリジナルは、イタリアの画家フェリーチェ・フィチェレッリが1618年から1650年頃に描いた「聖プラクセディス」。
構図から色合いからトレースしたように同じなんだが、ある一点だけが全く異なる。

フェルメール作とされる聖プラクセディスは十字架を手にしているが、フィチェレッリ作には十字架がない。
※最初のクリスティーズの動画で、01:03~01:15頃の「聖プラクセディス」がフィチェレッリ作。

構図から色合いから完璧以上の「コピー」のはずなのに、あざといくらいの位置に十字架を加えたのは何故か。
彼ほどの腕をもった画家が平凡な作品の模写を、しかもオリジナルを超える技巧で描く必要があったのは何故か。
しかも、フェルメールとフィチェレッリの二人が連名した、ように見える不思議な署名が入っているのだ。

この二人には直接的な繋がりがないということがはっきりしているのに、何故なんだ。

Girl with a Pearl Earring
Johannes Vermeer
Oil on canvas, 44.5 cm × 39 cmc, 1665
Mauritshuis, Netherlands

フェルメールは、真作と断定できる作品が三十数枚しかない(研究者によっては三十枚を切る)。

人気があるので贋作も後を絶たず、天才的な贋作画家メーヘレンの贋作なんか偽物なのに人気があるくらいだ。
ただ、なんの根拠もないけれど、国立西洋美術館の「聖プラクセディス」は自分の目で見て、本物だと思った。
誰が描いたかは特定できないけれど、少なくとも本物の誰かが描いた作品であることは間違いない、と思った。

それには理由があって、フェルメールについて前々から感じていたことで、はっきり確信したことがあるからだ。

現在、彼の真作であり代表作とされる「真珠の耳飾りの少女」。
専門家から引っ叩かれそうだが、実はこれ、フェルメールの作品じゃないんじゃねえの、と思っていたのだ。
筆遣いという点で「真珠の耳飾りの少女」は、他のフェルメールの作品とは微妙に違うような気がしていたのだ。

ところがだ、「聖プラクセディス」と「真珠の耳飾りの少女」は筆遣いに通じるものがある、と思った。

直感でしかないけれど、特に布地を描く筆遣いに共通点があるような気がする。
「聖プラクセディス」と「真珠の耳飾りの少女」を描いた画家は、筆が立て気味だったんじゃないかと思う。
筆を寝かせるんじゃなくて、どちらかというと立て気味にして細かく動かすように描く癖があったんじゃないか。

つまりだ、フェルメールと混同されてしまった別人、まだ未発見の天才的な画家がいるんじゃないか。

フェルメールはもともと商業画家で、人望があったから画家組合の理事なんかもやっていた。
名義貸しや暖簾分けがあってもおかしくないし、それなら制作年代と技巧成熟度のズレといった問題も解決する。
ああでもないこうでもない、お前はどう思うと聞いたら、甥は「まるでコナン君だね」だって。

おいちゃん、疲れたよ。

I don't need to know anything about the people I photograph,
but it's important that I recognize something about myself in them.
      Rineke Dijkstra

私が写真を撮っている相手について何かを知る必要はありません、
しかし、写真を撮っている自分自身は何であるかを意識することは重要です。
      リネケ・ダイクストラ

November 9, 2016

The Last Song Ever Written

You are here so please don't whisper
It's ok to please the one
We had everything we wanted
It's ok to say goodbye

We were young
We were relaxed
We were young but feeling old
It's not fair, it breaks my heart
You're not with me anymore

I miss you dear
Anywhere I go
How I miss you here

I miss you dear
Anywhere I go
How I miss you here

This is the last song every written
This is the last song every written ...

This is the last song ever written, this is the last one
This is the last song ever written, this is the last one ...

This is the last song ever written ...

This is the last song ever written, this is the last one
This is the last song ever written, this is the last one
This is the last song ever written, this is the last one
This is the last song ever written, this is the last one ...

Darkness & Ignorance
Type with one finger
Photography can light-up darkness and expose ignorance.
        Lewis Wickes Hine

写真は闇を照らし、無知に光明をもたらす。
        ルイス・W・ハイン

November 7, 2016

平和

各メディアでバラバラの支持率を眺めながら思った。

じゃあ、どんな人間が大統領に相応しいのか。
景気回復か、社会保障か、失業対策か、教育改革か、違うと思う。
そういうゴタゴタは大統領の周りに大勢いる優秀なブレーンたちに任せておけばいい。

大統領じゃないと務まらない仕事があるから大統領という役職があるのだ。

例えば、ベタだが、スピルバーグ監督の映画「プライベート・ライアン」を思い出してほしい。
冒頭、ノルマンディ上陸作戦で激戦区となったオマハ・ビーチの様子が描かれている。
あれを「やる」と判断する権限を持つことができるのは、大統領だけだ。

ご存知の通り、アメリカはあらゆる点で世界最大の軍隊を運用している。

SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によると昨年の軍事費はこうなっている。
第1位のアメリカは約5960億ドル、日本円にして約65兆円。
第2位(中国)の約3倍、第3位(サウジアラビア)の約7倍、第4位(ロシア)の約9倍、第5位(イギリス)の約10倍。

アメリカの大統領は事実上、世界で最も強大な殺生与奪の権限を有していることになる。

理想として必ず「平和は意識すべき」だが、それが簡単に実現できるとは思えない。
だからと言って、戦場に行ってこいと赤紙をもらって「はいそうですか」とは従えそうにない。
もちろん、ニュースやドローン越しの映像を見て「ゲームみたいだ」などという感覚麻痺も、ないつもりだ。

残念だが、後世になって歴史家が人々の争いを記述しなければならない時代はまだまだしばらく続くだろう。

そうだとして仮に、自分が爆撃機の要員だったとする。
クリントン大統領の最終決断により、自分が爆弾投下の扉を開いて、後で後悔しないか。
トランプ大統領の最終決断により、自分が爆弾投下の扉を開いて、後で後悔しないか。

冗談みたいだ、これでは空爆する方も空爆される方もたまったものではない。

一人の個人が、誰かに殺傷されていい理由はない、絶対にない。
ただし、人間は社会的動物でもあるので、ある程度は集団単位で生きていかないと社会自体が崩壊してしまう。
そうなると必ず、社会自体の崩壊を防ぐために、最終手段として個人を無視しなければならない状況がでてくる。

戦争だ。

正式な宣戦布告があった戦闘区域の場合、敵対する兵士を殺しても殺人ではない。
正式な軍事行動に従って正確に空爆した場合、女性や子供を巻き添えにして殺しても殺人ではない。
迷っても必ず、いずれどこかで戦争があり、誰かが大統領になって、誰かが爆弾投下の扉を開く。

「殺人ではない殺人」命令を下したとしても納得できる候補者は・・・と念頭に置き、大統領選挙の当日を迎えよう。

Need You Now - "Why Make Sense?" Hot Chip
Domino Recording Company

オバマさんは主語によく「We」を使って話すことで知られ、単に方針じゃなくて、やっぱり性格が出てると思う。

トランプさんはよく「No」を使い、「駄目だ」「嫌だ」「馬鹿だ」「嘘だ」「お断りだ」等々、子供の口喧嘩かいな。
クリントンさんは単語の偏りがない分、今までの大統領候補としては平坦な話し方でまったく印象に残らん。
悪口はお互い様で「あんたのホテルの鉄骨は中国製よ!」「お前を刑務所にぶちこんでやる!」等々、拮抗してる。

大統領や候補者の演説は格好の英語教材になるんだが、教科書会社が頭を抱えてる、というニュースもあった。

I hope to stay unemployed as a war photographer till the end of my life.
       Robert Capa
(At the end of World War II, 1945)

俺の人生が終わるまで、戦場カメラマンとして失業していたい。
       ロバート・キャパ
(第二次世界大戦終了時、1945年)

キャパってベタなんだけど、やっぱり凄いよなあ。

November 3, 2016

反射

The camera is an instrument that teaches people how to see without a camera.

       Dorothea Lange

カメラは、人々がカメラがなくてもどうやって見たらいいのか教えてくれる道具なんです。

       ドロシア・ラング

今だ!

なにやってんだよ、あーあ、また逃げちゃったよ!
何が逃げたって、シャッターチャンスに決まってんだろが!
グズ、ノロマ、アンポンタン、それでもお前ぇは目ぇ開けてんのか!

これだ!って思った瞬間っつーのはストロボがパッと光る瞬間なんかより、ずっとずっとずーっと早いんだよ!

No Care - "Not to Disappear" Daughter
4AD (Beggars Group)

While there is perhaps a province in which the photograph can tell us nothing more than what we see with our own eyes,
there is another in which it proves to us how little our eyes permit us to see.
       Dorothea Lange

写真はね、私たちが見ている以上のことは何も伝えられないってことはあるかもしれないわね、
でもそれって、私たちが自分の目でいかに見ることができていないかっていう証拠でもあるのよ。

       ドロシア・ラング

仏像だって走ってるんだぞ、俺!