網膜から入った映像を体外の記憶装置へ直接保存することが可能になった世界。
今やアドコンやファイザー・キヤノン※といった国際企業は視覚系の生体組織を製造するまでになっていた。
これらの指数関数的に増加する膨大な映像情報に対処するため、政府は国際被写体保護税(ISPT)を制定する。
※2026年にアドビがニコンを買収子会社化、2043年にファイザー製薬がキヤノンを合併吸収。
スローガンは「全ての被写体に権利と保護を」。
空、海、山、花、動物、虫、砂粒一つに至るまで、それら自然の被写体は地球環境保護税として算出、徴収される。
ビル、家、服、車、鉛筆一本に至るまで、それら人工の被写体は所得税や消費税などから算出、徴収される。
人に対しては、年齢や生涯賃金などから算出、自撮りすら個人情報保護や社会保障と照らし合わせ徴収された。
前述のメーカーによる自動画像認識技術が常に政府のサーバーを介し、撮影一枚毎に自動徴収しているのだ。
こうして、余程の出来事でもないかぎり誰も写真を撮らなくなってしまった、ある日の早朝。
ベッドで寝ていた写真好きの主人公(高校生くらいか)は、狼狽する母親に叩き起こされて目を覚ます。
表に警察が来てお前に逮捕状が出てると言っている、そう慌てふためく母親をなだめると、主人公は玄関へ出た。
警官は「君、まず両目(に内臓されたセンサー)を切ってくれるかな」と言いながら、胸元のISPT-IDを掲げた・・・。
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・・・というSF小説が閃いたんだけど、やっぱりボツか。
みんなが自由自在に撮ってるはずなのに、まるでテンプレみたいになってるのが面白い。
最後、Shutterstockマークがそのままなのは笑ってしまった、確かによく参考にさせてもらってるもの。
自由意思のはずが自然と定型化してしまうっていう「無意識の縛り」のようで、ちょっと怖いね。
今この瞬間にも世界中でどれだけの枚数のシャッターが切られているのか、ホント想像もできません。
Shoot, Shoot, Shoot.
撮って、撮って、撮るのよ。