じゃあ、どんな人間が大統領に相応しいのか。
景気回復か、社会保障か、失業対策か、教育改革か、違うと思う。
そういうゴタゴタは大統領の周りに大勢いる優秀なブレーンたちに任せておけばいい。
大統領じゃないと務まらない仕事があるから大統領という役職があるのだ。
例えば、ベタだが、スピルバーグ監督の映画「プライベート・ライアン」を思い出してほしい。
冒頭、ノルマンディ上陸作戦で激戦区となったオマハ・ビーチの様子が描かれている。
あれを「やる」と判断する権限を持つことができるのは、大統領だけだ。
あれを「やる」と判断する権限を持つことができるのは、大統領だけだ。
ご存知の通り、アメリカはあらゆる点で世界最大の軍隊を運用している。
SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によると昨年の軍事費はこうなっている。
第1位のアメリカは約5960億ドル、日本円にして約65兆円。
第2位(中国)の約3倍、第3位(サウジアラビア)の約7倍、第4位(ロシア)の約9倍、第5位(イギリス)の約10倍。
アメリカの大統領は事実上、世界で最も強大な殺生与奪の権限を有していることになる。
理想として必ず「平和は意識すべき」だが、それが簡単に実現できるとは思えない。
だからと言って、戦場に行ってこいと赤紙をもらって「はいそうですか」とは従えそうにない。
もちろん、ニュースやドローン越しの映像を見て「ゲームみたいだ」などという感覚麻痺も、ないつもりだ。
残念だが、後世になって歴史家が人々の争いを記述しなければならない時代はまだまだしばらく続くだろう。
そうだとして仮に、自分が爆撃機の要員だったとする。
クリントン大統領の最終決断により、自分が爆弾投下の扉を開いて、後で後悔しないか。
トランプ大統領の最終決断により、自分が爆弾投下の扉を開いて、後で後悔しないか。
冗談みたいだ、これでは空爆する方も空爆される方もたまったものではない。
一人の個人が、誰かに殺傷されていい理由はない、絶対にない。
ただし、人間は社会的動物でもあるので、ある程度は集団単位で生きていかないと社会自体が崩壊してしまう。
そうなると必ず、社会自体の崩壊を防ぐために、最終手段として個人を無視しなければならない状況がでてくる。
戦争だ。
正式な宣戦布告があった戦闘区域の場合、敵対する兵士を殺しても殺人ではない。
正式な軍事行動に従って正確に空爆した場合、女性や子供を巻き添えにして殺しても殺人ではない。
迷っても必ず、いずれどこかで戦争があり、誰かが大統領になって、誰かが爆弾投下の扉を開く。
「殺人ではない殺人」命令を下したとしても納得できる候補者は・・・と念頭に置き、大統領選挙の当日を迎えよう。
Need You Now - "Why Make Sense?" Hot Chip Domino Recording Company |
オバマさんは主語によく「We」を使って話すことで知られ、単に方針じゃなくて、やっぱり性格が出てると思う。
トランプさんはよく「No」を使い、「駄目だ」「嫌だ」「馬鹿だ」「嘘だ」「お断りだ」等々、子供の口喧嘩かいな。
クリントンさんは単語の偏りがない分、今までの大統領候補としては平坦な話し方でまったく印象に残らん。
悪口はお互い様で「あんたのホテルの鉄骨は中国製よ!」「お前を刑務所にぶちこんでやる!」等々、拮抗してる。
大統領や候補者の演説は格好の英語教材になるんだが、教科書会社が頭を抱えてる、というニュースもあった。
I hope to stay unemployed as a war photographer till the end of my life.
(At the end of World War II, 1945)
俺の人生が終わるまで、戦場カメラマンとして失業していたい。
(第二次世界大戦終了時、1945年)
キャパってベタなんだけど、やっぱり凄いよなあ。