Harbor Neuroscience
Hanover, New Hampshire 1989
ハーバー小児神経科
ニュー・ハンプシャー州ハノーバー、1989年
Justine (Izzy Fenech):
Mmm... Mmm...
ジャスティーン (イジー・フェネック):
うーん・・・うーん・・・
※
※成人してからのジャスティーン役はアリソン・ライト、後に同室する患者の一人。
Nurse (Jade Halley Bartlett):
Justine... please.
看護士 (ジェイダ・ハーレイ・バートレット):
ジャスティーン・・・お願いよ。
Chris (Seth Lee):
Puff-puff...Puff-puff...
クリス (セス・リー):
フーフー・・・フーフー・・・
※
※成人してからのクリス役はベン・アフレック。
Neurologist (Jason Davis):
It's called "stimming"... "self-stimulation".
Whereas you and I might tap our fingers, grind our teeth, bite our nails, your son rocks back and forth.
It's more obvious, but perfectly natural.
神経科医 (ジェイソン・デイビス):
これは「常同症」・・・「自己常同行動」と呼ばれるものです。
わたし達は指を打ち鳴らしたり、歯軋りしたり、爪を噛んだりしますが、お子さんは前後に揺れたりする。
隠すことはできませんが、(高機能自閉症やアスペルガー症候群の患者にとっては)ごく自然なことです。
Mother (Mary Kraft):
We came here because we heard you specialized in...
And, What is it?
What does he have?
母親 (メアリー・クラフト):
私たちがここへ来たのはあなたが専門だからと・・・
だから、何なんでしょう?
息子は何なんですか?
Father (Robert C. Treveiler):
......
父親 (ロバート・C・トレヴァイラー):
・・・・・・
Neurologist:
I'm not a fan of labels, ma'am.
Your son is a remarkable young man.
神経科医:
わたしは決めつけたくないんです、お母さん。
お子さんは稀な少年なんですよ。
Mother:
Who goes crazy when you turn the vacuum on?
He wears one T-shirt, won't let you hug him.
母親:
誰が掃除機のスイッチを入れただけでおかしくなるっていうんですか?
あの子はシャツ1枚しか着ていないのに、抱きしめてあげることもできなくなるんです。
Braxton (Jake Presley):
......
ブラクストン (ジェイク・プレスリー):
・・・・・・
※
※成人してからのブラクストン役はジョン・バーンサル、クリスの弟。
Neurologist:
Loud noises, bright lights can be especially difficult for someone like your son.
The shirt, most likely fabric sensitivity.
Hugging, closeness, touching...
That can be a challenge, yes.
神経科医:
大きな音や強い光は、お子さんにとって特に困るでしょう。
シャツは、とても繊細な生地ですしね。
抱きしめたり、親しくしたり、触れ合ったり・・・
そういったこと自体が難しい、ええ。
Justine:
Mmm... Mmm...
ジャスティーン:
うーん・・・うーん・・・
Nurse:
Justine, no shoes today.
看護師:
ジャスティーン、今日はクツはなしよ。
Mother:
When it's somebody else's child, it's a challenge.
When it's yours, it's a problem.
母親:
これが他の子だったら、難しいで済むかもしれません。
これはあなたの、先生の患者です。
Neurologist:
My practice focuses on education.
I'd like to work with your son, at his speed.
Help him develop the skills he'll need to lead a full life.
Communicating, eye contact, understanding non-verbal cues, making friends...
神経科医:
わたし達は(治療よりも)教育を重視しています。
わたしはお子さんと一緒に、彼に合わせて診ていきたい。
彼が人生を送るために必要な能力を助けてあげるんです。
コミュニケーション、アイ・コンタクト、非言語的な合図(表情や仕草)の理解、友達作り・・・
Mother:
The only friend he has is his little brother.
I'm sure moving from base to base hasn't helped.
My husband's in the Army... which means we all are.
母親:
彼の友達は弟だけです。
基地から基地への転勤は仕方がなかったと思っています。
夫は陸軍なので・・・つまり家族全員(が一緒に転勤)ですから。
Neurologist:
Would you be willing to let your son stay with us for the summer.
Free of charge, working with me in a sensory-friendly environment.
神経科医:
安心してください、お子さんはわたし達と一緒に夏を過ごすんです。
無料で、感覚に優しい環境で暮らすんですからね。
Father:
That's not gonna happen.
父親:
それはない。
Neurologist & Mother:
......
精神科医と母親:
・・・・・・
Father:
If loud noises and bright lights bother him, he needs more of it... not less.
The world is not a sensory-friendly place, and that's where he needs to learn to live.
Not in here.
父親:
大きな音や強い光が苦手なら、あの子はそれに慣れなければ・・・少なくとも。
世の中は感覚に優しくはないし、そこで生きることを学ぶことこそが必要なんだ。
ここ(病院)じゃない。
Chris:
...Huh ....Huh?
クリス:
・・・あれ・・・あれ?
Father:
...Doctor, in your opinion, can our son lead a normal life?
父親:
・・・先生、あなたの診断で、わたし達の子供は普通の生活を送ることができますか?
Neurologist:
...Define "normal"?
神経科医:
・・・「普通」の定義は?
Chris:
Hmm, I need to finish... I need to finish!
Solomon Grundy!
Born on a Monday!
Christened on Tuesday!
Married on Wednesday!
Sick on Thursday!
Worse on Friday!
Died on Saturday!
Buried on Sunday!
I need to finish!!
クリス:
うー、完成させなきゃ・・・完成させなきゃ!
ソロモン・グランディ!
※
月曜に生まれ!
火曜に洗礼!
水曜に結婚!
木曜に病気!
金曜に悪化!
土曜に死んだ!
日曜にお墓!
完成させなきゃ!!
※人間の一生と曜日を対比させたマザー・グース(子守唄)のひとつ。
旧約聖書から、ソロモンは「賢い」王の名、グランディは「愚か」な狂人の名に由来。
Justine:
Mmm... Mmm... Huu... !
ジャスティーン:
うーん・・・うーん・・・うー!
Braxton:
......
ブラクストン:
・・・・・・
Chris:
I need to finish!!
Solomon Grundy!!
Born on a Monday!!
Christened on Tuesday!!
Married on Wednesday!!
Sick on Thursday!!
Worse on Friday!!
Died on Saturday...
Buried on... Sunday...
クリス:
完成させなきゃ!!
ソロモン・グランディ!!
月曜に生まれ!!
火曜に洗礼!!
水曜に結婚!!
木曜に病気!!
金曜に悪化!!
土曜に死んだ・・・
日曜に・・・お墓・・・
Justine:
Hmm... hmm......
ジャスティーン:
うー・・・うー・・・
Braxton:
......
ブラクストン:
・・・・・・
Justine:
He-he...he......
ジャスティーン:
ふふ・・・ふ・・・・・・
&
↓
超人症候群に陥った男性客を狙ったジャンルがある。
普段は平凡で地味で無能な新聞記者、現実は皆がクラーク・ケントである。
しかし「鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!」という夢物語が日常の不満を上手く昇華させる。
尊敬と畏怖の念が集まる変身願望さえ叶えれば大抵の男は満足するからだ。
この映画の予告編で「Everything In Its Right Place」が使われて、Radioheadの名アルバム「Kid A」が再び注目を集めた。
超人症候群の患者には、かなり痛い歌詞だ。
全てのものは在るべきところに在る(Everything In Its Right Place)、のだから。
ただし、因果応報も輪廻のワンピースとなれば始終が消えて責任不在となるから、安心してよい。
誰のせいでもない、日常を、現実を、運命を在るがままに受け入れよ、ということだ。